こんにちは!
超個別指導塾まつがく 上里教室の松尾です。
さて、埼玉県では公立高校の願書出願が終わり、いよいよ学力試験を残すのみ(学校により実技試験や面接はありますが)となりました。
入試直前の今、ラストスパートをかけている受験生のために、各教科の傾向を考察してみたいと思います。
最後の最後、何をやればいいのか。
参考にしていただければと思います。
また、中学2年生以下の皆さんは「今後何を意識して勉強に取り組めば良いのか」を考えるきっかけにしていただければ幸いです。
数学(学校選択問題)全体の出題傾向
平成30年度の入試から「学力検査問題」と「学校選択問題」を高校によって選択することができるようになりました。
「学校選択問題」は、主に上位校と呼ばれる高校で採用されています。
県北エリアでは熊谷高校・熊谷女子高校・熊谷西高校です。
それ以外の高校は「学力検査問題」です。
それでは今回は学校選択問題について見ていきましょう。
1.小問集合
2.図形(作図・証明)
3.図形の利用
4.関数の利用
5.空間図形の利用
学力検査問題と同様、大問5つという構成に変化はありませんでした。
構成だけでなく、配点にも変化がなかった点は注視したいところです。
大問別出題傾向
1.小問集合
令和2年度学力検査の配点:42点
中学校で習った数学の各領域に関する知識や技能が確実に備わっているか、を見る問題となっています。
特別に難問と言える出題もなく、学校選択問題採用の高校を志望する生徒さんはできれば満点をとってもらいたいところです。
令和2年度では(2)の正答率が45%と低かった点に着目しておきたいところ。
式の値を求める問題ですが、与えられた式に直接代入してしまうと、計算が非常に困難になります。
展開や因数分解を用い、簡単にしてから代入することで、とてもスッキリした計算となることを覚えておきましょう。
緊張してしまい、いつもの実力を発揮できなかった生徒さんもいたかと思います。
計算は日々の繰り返しがものを言いますので、意識的に取り組むことをオススメします。
(9)の説明問題は標本調査における適切な方法の説明であったため、正答率が比較的高くなっています。
2.図形(作図・証明)
令和2年度学力検査の配点:12点
前年同様2題の出題でしたが、前年が「(1)作図、(2)場合の数」だったのに対し「(1)作図、(2)平行四辺形の証明」となりました。
大問2で完全記述の証明問題が出題されたことがなかったため、面食らった受験生も多かったのではないでしょうか。
(1)の作図はこれまでと同様、間接的な言い回しの作図指示でした。
円周角の性質と円の接線の性質を組み合わせて解く必要があります。
しかし正答率は73%と高く、しっかりと準備がなされていたことがうかがえます。
(2)の平行四辺形の証明はこれまで大問2で出題されたことがなかったのも正答率が低い(36%)遠因かもしれません。
また設問自体も直接的に平行四辺形であることを証明するのではなく、直角三角形の合同を証明した後、平行四辺形であることを証明することが求められているため、証明問題を解き慣れていない生徒には少し難しかったかもしれません。
大学入試がただ知識や技能だけを求めるのでなく、考察力や表現力を求められる出題傾向に変わってきているため、高校入試もそれらに合わせて記述式問題が出題される傾向が見られます。
今後この傾向はより強まりますので、しっかりとした対策を行っていきたいところです。
3 .図形の利用
令和2年度学力検査の配点:11点
前年度は関数の利用、令和2年度は図形の利用となりました。
学力検査問題とほぼ同内容ですが、数値が変わり計算が複雑化しています。
(1)は「相似の性質」を用い電柱の高さを求める問題でしたね。
令和3年度ではこの単元は出題範囲から除かれているため、新たな形式で出題されます。
ここは比較的解きやすい問題であったため正答率も93%と高くなっています。
学力検査問題に比べ数値が複雑化していますが、さすがに上位校を目指す生徒ばかりなので、しっかりと得点してきた印象です。
(2)は「二等辺三角形や直角三角形の性質」と「三平方の定理」を利用する問題でした。
学力検査問題とほぼ同内容ですが、そちらでは解法の補助があったのに対してこちらでは「1から考えなければならない」点が難化しています。
正答率も10%と、かなり苦戦した生徒が多かった印象です。
こちらも令和3年度入試では出題範囲から除かれた単元となっているため、新たな形式での出題が予想されます。
4.関数の利用
令和2年度学力検査の配点:15点
苦手意識を持つ生徒が多い「関数」です。
問題を見た瞬間に嫌になってしまう生徒さんが多い単元ではありますが、詳しく見ていくと全くできない問題ではありません。
大問3と同様、学力検査問題とほぼ同内容の出題ですが、与えられている情報が少なく、自分で導き出す必要がある点が特徴です。
(1)は「2点を通る直線の式を求める問題」でした。
2点の座標さえしっかりと求めることができればそれほど難問というわけではありません。
正答率も95%と非常に高くなっていますので、関数の基本をしっかりと復習し確実に得点することが求められます。
(2)は関数上の動点問題でした。
この手の問題は苦手意識を持つ生徒が非常に多いことが特徴です。
「動点の座標を文字を使って表す」ということが難しいようです。
①では座標を文字で表したときに、辺の長さを式で表し説明することができるか、という表現力を問う問題となりました。
「座標を文字で表す」「辺の長さを文字式で表す」「文字式が等しいことを使って二次方程式を解く」という3段階が難しく感じられたようです。
正答率は10%、無答率は30%という難問でした。
②はさらに三角形の面積比が加わり、より難しく感じられます。
辺の位置による場合分けなど、限られた時間内で解き切ることは難しかったかもしれません。
正答率は8%、無答率は63%と、最も難しい問題の一つでした。
5.空間図形の利用
令和2年度学力検査の配点:17点
昨年同様、最終問題は空間図形の利用となりました。
体積・位置関係・線分の長さの比と幅広く出題されているため、基本的な図形の知識に加え、見通しを持って論理的に考察し表現する力が問われました。
(1)は立体の体積を求める問題です。
三平方の定理を使って高さを求める問題は多くの受験生が解いたことがあるため、正答率は78%と高くなっています。
ここは確実に得点しておきたいところですね。
(2)は「ねじれの位置」にある辺の数を求める問題。
空間図形における位置関係で苦手意識を持つ生徒が多いのがこの「ねじれの位置」です。
「ねじれの位置=交差していない・平行でない」ということは多くの受験生が理解できていたようなのですが、「辺を伸ばしても交差しない」という点を見落としてしまった誤答が多かったようです。
正答率は23%。
(3)が最終問題にして学校選択問題内最大の難問でした。
正答率は6%、部分点をもらえた生徒も0.9%しかいないという状況です。
(1)(2)で考えたものを使い、論理的に考察し説明する力が求められています。
残り時間が少ない中で解き切ることは非常に難しかったのでしょうか。
終わりに
以上、埼玉県公立高校入試「数学(学校選択問題)」の出題傾向の考察でした。
入試までの残りの期間で確実に得点力を伸ばすためには「大問3」「大問4」をオススメします。
大問1・2も重要ですが、上位校を目指す受験生は既にここは満点をとる実力が備わっていないと厳しいでしょう。
また、大問5も(1)(2)は正解しやすい問題がありますので、全てを捨ててしまうのではなく「得点できる問題で確実に得点をする」という意識を持って勉強していってください。
次回は、「社会」を考察します。お楽しみに。
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