〈入試問題分析2021〉理科・社会の出題傾向と変更点【新潟県高校受験情報】

〈入試問題分析2021〉理科・社会の出題傾向と変更点【新潟県高校受験情報】

こんにちは。

超個別指導塾まつがくの円山です。

 

令和3年(2021年)の公立高校一般選抜が3月4日に行われ、3月12日に合格発表がありました。

この記事では社会・理科の検査問題を振り返り、今回の出題傾向や設問形式の変更点と今後の見通しについてお話します。

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目次

  1. 全体概要
  2. 社会
  3. 理科
  4. おわりに

この記事は5分程度で読み終えることができます。

 

全体概要

令和3年入試は大学入試改革の影響、学校独自検査の方針転換によって検査内容や形式に例年以上の大きな変化が見られました。

社会・理科は他の科目に比べると変化は小さいですが、今後の出題傾向を示す意図を感じる問題が多くありました。
将来に高校受験が控えている生徒さん・保護者の方々はぜひこれからの学習に役立ててください。

また、新型コロナウイルスによる休校の影響で社会は公民の「国際社会」理科は「科学技術と人間」「自然と人間」出題範囲から除かれていました

 

社会

大問1…世界地理※変化
大問2…日本地理※変化

大問1と大問2の出題内容はおおむね例年通りでした。

その中で特徴のある問題は、大問1(2)と大問2(4)があげられます。

 

大問1(2)食文化と地理の知識を合わせた問題

新潟県の入試では近年、時事問題も含めて現代の社会情勢や生活文化に根差した、日常生活とかかわりをもった問題が数問出題される傾向があります。

勉強した知識を身の回りの体験とつなげて考えるような能力が期待されているので普段から意識するといいでしょう。

 

大問2(4)こちらも2つの資料をもとに考察する問題です。

資料の活用は教育改革で重視されている能力で、今後はどの科目でも増加していくので対策は欠かさないようにしましょう。

 

各問の配点は例年通りですが、地理は問題数が1問減少しました。

例年では地理・歴史・公民が32点~34点でバランスよく配点されていましたが、今回は地理29点、歴史34点、公民37点公民の比重が高くなっています

後述しますが、公民は今回の社会の中で一番変化が大きい分野でした。今後の出題傾向を強く表しているので注目しましょう。

 

大問3…近世までの歴史※変化
大問4…近代以降の歴史※変化

歴史範囲全体の枠としては大きな変化はありませんが、細かい変化はいくつか指摘することができます。

 

近代以降の問題でテーマ方式の出題は目新しい。

大問4では例年、年表をもとに設問が出されていました。
テーマのカードをもとにした出題は大問3では頻出ですが、大問4で出てくるのは初めてではないでしょうか。

 

資料読み取り問題が多い

地理でも触れましたが、資料から読み取る問題が非常に多くなっています。
今後の学習でも一問一答で終わらない意識をつけていきましょう。

 

近代の文化財が出題

文化財の出題は例年通りです。
今回は近代(明治以降)の出題で、写真から制作者を問う設問で高村光雲の「老猿」が出題されました。
実はこの写真、中学校の歴史教科書(東京書籍)の裏表紙になっているので多くの生徒は見覚えがあったはずです。
ですが、文化財は奈良時代~江戸時代の範囲で問われる場合が多く、近代文化は過去にほとんど出題されていないので、対策が不十分だった生徒も多いのではないでしょうか。

 

因果関係の問題が2年連続出題

「背景・原因」→「できごと」→「結果・影響」をまとめる問題が出題されました。
これは昨年度に初めて出題された形式ですが、今回も連続での出題となりました。
今後もこのような縦のつながりを意識した学習をして欲しいという、出題者の意図の表れととらえられます。

 

大問5・大問6…公民※変化

全体として問われる用語・知識は例年通りで対策しやすいものでした。

ただし問われ方がかなり工夫されているので回答に時間がかかった生徒も多かったのではないでしょうか。

特筆すべきは「穴埋め」と「資料」の多さです。

今回の入試では公民だけで穴埋めが6題図表が9も出されています。

参考として、令和2年入試では穴埋め5題、図表2。
平成31年入試では穴埋め2題、図表2です。
急激に増加していることがわかりますね。

いくつか特徴的な問題を取り上げてみましょう。

 

大問5(1)

ワーク・ライフ・バランスを答える問題。
近年の働き方改革におけるキーワードなので用語の難易度は低いですが、内閣府「カエル!ジャパン」キャンペーンのホームページを引用し、語句の穴埋めとして出題されています。
文章からのテーマの読み取りに加え、webサイトという身近な題材に近年の傾向が表れています。

 

大問5(3)

「国会の召集日・会期終了日」と「衆議院・参議院の選挙実施日」から開催された国会の種類を答える問題。
「特別会は衆議院総選挙から30日以内に開かれる」という知識に加えて、複数資料の読み取りが求められる高難度な問題でした。

 

大問6

テーマは「食料自給率」と「流通」で高校入試では定番ですが、「中学校で農業について調査して発表する」という設定でより身近な話題として扱われています。

設問3つに対して資料5+発表原稿という出題で、入試改革の象徴ともいえる問題です。

過去に類題は見当たりませんが、あえて言えば新潟県立中高一貫校入試の問題そのものです。(実際に今年中学校受験をした新中1の生徒に見せるとすらすら解いていました。)

この問題から、知識ではなく思考能力を測る問題を今後も出題するという意志が強く感じられます。

思考能力を育てるには自由研究総合学習に真面目に、積極的に取り組むことが大切です。

与えられた課題をクリアするだけでなく、身近な物事に興味をもつことや自分で疑問を見つけることを日頃から意識しましょう。

 

理科

理科は社会に比べると変化が少なく、頻出問題がそのまま出題された印象です。

堅実に対策をしてきた生徒は解きやすく感じたのではないでしょうか。

大問ごとの内容を確認していきましょう。

 

大問1…小問集合※変化…

今回の理科では一番の変化でした。
例年は物理・化学・生物・地学がそれぞれ2つの大問構成が多いですが、今回は物理が1つになり代わりに分野関係なしの小問集合が出題されました。

分野が混ざった大問は平成30年にも出題されているので意外性は低いですが、ポイントは各問が完全に独立した形式知識を問う出題がされている点です。

他の科目では思考力を問う出題が増加してきていますが、それとは逆に理科では実践的な知識・技能が求められている(?)ということでしょうか。

正直なところ、この大問に関しては次年度以降どうなるのか読めません。
ただし問題内容に特別なものはないので、これに向けた追加の対策は必要ないように思います。

 

大問2…神経系(生物)※標準的な問題です。

大問3…マグネシウムの酸化反応と質量変化(化学)※頻出問題です。

化学反応式は係数が与えられており親切で、計算も1問だけで例年よりシンプルで解きやすいものでした。

 

大問4…有性生殖と無性生殖(生物)※標準的な問題です。

大問5…太陽系と天体の運動(地学)※標準的な問題です。

(3)は平成29年に同様の出題がありますが、4年前なので手を出していた生徒は少ないかもしれません。

 

大問6…電気回路(物理)※標準的な問題です。

大問7…天気(地学)※変化…

天気図を読み取る問題でした。
必要な知識は難しいものではありませんが、気温・湿度・気圧・風速・天気など多くの情報から回答の根拠になる情報を探す力ことが求められました。

 

大問8…気体の性質(化学)※標準的な問題です。

(2)は知識を問う問題ですが、炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムの水溶液の性質は出題されるのが稀なので覚えられていない生徒も多かったでしょう。
(高校レベルの話ですが、炭酸水素ナトリウムは両性の化合物で化学式から推測するのも難しい問題でした)

 

おわりに

今回は令和3年(2021年)入試の振り返り(社会・理科)をお話ししました。

社会は教育改革に従って図表が増えたり思考力が問われる出題が多くなっていました。
出題形式や配点も大きく変化しているものがありました。

理科はそれとは逆に知識・技能を問う出題が増えたようです。
出題形式の変化はほぼありませんでした。
今年度の入試全体の傾向から外れており、次年度が今回と同じになるのか別の方向に大きく変化するのか読みにくい状態です。
受験生のみなさんはどんな問題でも対応できるよう準備することが必要になるでしょう。

 

 

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