こんにちは!
超個別指導塾まつがくの阿由葉です。
【この記事はこんな方におすすめです】
・2022年度長野県公立高校後期選抜の出題傾向を知りたい
・大問ごとの配点を知りたい
今回は2022年3月9日に実施された長野県公立高校後期選抜試験についての分析です。
一時限目:国語
総評【正確な読解力と記述力が求められた】
・昨年度は記述量が増えたため平均点が例年よりも大分低かった。本年度は恐らくその影響もあり、記述問題数自体は4題で変わらなかったが、合わせて最大225字程度と、昨年度の最大320字と比べだいぶ少なかった。
・問題形式も例年とあまり変わらず、過去問演習をしっかりしていた生徒は腰を据えて問題に取り組めたと思われるが、全体的な問題文の文量は増えた印象。
・記述量は減ったが配点は25点と昨年度より1点増えている。記号問題も9問から11問に増えており、正確に読み解かないと思うような点数は取れなかったのではないか。
①論説文(35点)
・問題文自体は言語論的なものにフォーカスが当たっているが、他者とのコミュニケーションという意味でもいうとH30の文章と通底する部分もある。喩えを多く使っているものの抽象度が高く、理解するのは中々難しかったと思われる
・文法は品詞の識別(連体詞・副詞)で、出題自体はよくあるもの。
・記述問題は今までと大きく異なり、「自分の考え」を書くものではなくなった。抽象度の高い文章を理解し、具体的な例示を自ら示すという問題になっており、難易度は高かったと思われる。
②意見文(12点)
・昨年度は色々と「盛り込みすぎた」感があり、本年度は以前の出題形式に近くなった
・記述量が減り内容としても平易だが、読ませる文量自体は多いので読解スピードも求められた
③漢字(6点)
・昨年度と同じ「間違い探し形式」。しばらくはこの形式が続くと思われる。
④古典(20点)
・『宇治拾遺物語』からの出題。あらすじや訳注、ヒントとなる会話文はあるが、文章自体が長く、話をしっかり追うのは難しかったはず。
・以前は頻出だった会話文形式のヒントが付くようになった。大学共通テストの形式を踏まえてものだと推測される。
⑤小説(27点)
・現代の作家、現代が舞台、主人公が高校生という受験生にとっては恐らく非常に読みやすい文章で、過去問演習をしっかり行っていれば苦労はしなかったはず。
・記述問題は昨年度同様の形式。読みやすく感情移入もしやすい文章をいかに客観的に読み記述するかを試している問題と思われる。
二時限目:数学
総評【図形要素が強い】
・大問の組み立ては例年通りだが、大問3の関数の後半で図形要素が強い出題があり、図形が苦手な生徒は苦労したはず。
・大問1、2は比較的取り組みやすい印象で、全体としての難易度は昨年度と同程度だと思われる。
・新学習指導要領で追加された「累積度数」、「四分位範囲」、「箱ひげ図」は他県では一部出題があったが長野県では出題されなかった。
○大問1(36点)
・そこまでの変化はないが、単純な計算の要素はより少なくなった。
○大問2(中問集合20点)
・立体、標本調査、連立方程式からの出題で、いずれも過去問に似た形式のものがあり取り組みやすかったはず。
・久しぶりに資料の整理が大問2ではなく大問1で出題された。
○大問3(1次関数22点)
・2部構成で、中3範囲のいろいろな関数、グラフ、図形から主題された。
・いずれも過去問ではほとんど出題がなく、最初は戸惑ったと思われる。
・Ⅱのグラフと図形の問題は他県では頻出の形式だが長野県ではあまり出題がなかった。相似や対称移動を利用し最短距離を使って解く問題があり、図形要素が強かった。今後もこの形式が続くとなると重点的な対策が求められる。
○大問4(平面図形22点)
・円に内接する三角形と多角形の出題が交互に続いていたが、昨年度に続き本年も多角形(正三角形、正方形)からの出題だった
・証明とⅡ(2)は少し取り組みにくかったと思われるが、それ以外は標準レベルで得点しやすかったと思われる。
三時限目:社会
総評【記述対策の重要性】
・公民分野の殆どが記述で対応に苦慮したのではないか。
・地理、歴史の出題順や配点、テーマ設定の有無、融合問題の有無(本年度は無かった)を見ると、毎年微細な変化を続けていることが分かる。
・平均点がここ2年高かったため、本年度は引き締めの意味でも記述問題が増えたと推測される。
①歴史(28点)
・記号問題が7割以上を占めており、記述力よりも資料(史料)の読解力が試されている。しかし配点が37点から28点に下がった。
・昨年度に続いてテーマ設定をした上での出題。今年は「道路や交通の発達」。
②地理(36点)
・今年は地理全体でのテーマはなく、日本地理は「関東地方」、世界地理は「インド」がテーマだった。
・出題形式や難易度は昨年度と大きくは変わらなかった。
・記述問題は資料をきちんと読んだ上での記述力が試されている。別の言い方をすると、公民同様、知識として知らなくても読解力次第でそのまま解ける問題も多かった。
③公民(36点)
・記述問題が6題と、昨年度の3題から大幅に増えた。時間に余裕がないと厳しかったはず。
・地理同様、知識はある程度前提とはなるが、資料を読めばかなりの精度で答案が書ける形式なので、しっかりとした対策が必要となる。
・長い記述問題は、蛍光灯1本あたりの価格や交換費用を考えるといった、数学的に資料を読み取る力が求められた。
四時限目:理科
総評【実生活との結びつきを意識した問題導入】
・生物分野では下水処理、物理分野では石釣船など実生活に即した「こと」や「もの」が問題の導入として扱われた。
・それらを除くと例年通りの出題形式であるが、読解力や思考力を試す問題も多く、平均点は他教科と比べると高くはないと考えられる。
①生物分野(25点)
・Ⅰ:下水処理場を導入とした微生物の働きの実験問題。大学共通テストのような会話文も入っている。
・Ⅱ:導入なしで植物の蒸散実験問題。内容としては過去問にも類題があり標準的。
②化学分野(25点)
・Ⅰ:蘭引を導入に蒸留の実験問題。問題自体、実験を観察した様子やその考察を問うものが多く、きちんと正解を出すのは難しかったはず。
・Ⅱ:ベーキングパウダーを導入に、炭酸水素ナトリウムと炭酸水素アンモニウムの熱分解の実験問題。例年よりは取り組みやすかったと思われる。
③地学分野(25点)
・Ⅰ:新幹線の早期地震検知システムを導入に、地図を用いた地震の問題。この形式は近年出題がなく戸惑った生徒も多かったはず。
・Ⅱ:太陽光パネルを導入とした出題。導入からそのまま出題につながっており読解力や思考力が試されている。
④物理分野(25点)
・Ⅰ:石釣船を導入とした浮力の実験問題。近年出題もあったが苦手とする生徒が多く、正解率は高くないと思われる。
・Ⅱ:ワイヤレス充電の仕組みを導入とした電磁誘導の実験問題。類問も多く比較的取り組みやすかったのではないか。
五時限目:英語
総評【読解重視は変わらず】
・記述問題の割合が増え、記号と記述の配点比は71:39となった。去年度が平均点、標準偏差いずれも例年より高く、そうした影響があると考えられる。読む英文量はさらに増えた印象。
・大問3と4が入れ替わった印象がある。英文量的にも最後が一番多いので時間配分はやりやすかったか。
①リスニング(20点)
・1回だけしか読みあげられない問題があったり、共通テストのような正しいグラフを選択する形式の問題があったりと、昨年度とそれほど変わらず。
②会話文、読解問題(30点)
・昨年度をそのまま踏襲した形で対策はしやすかったと思われるが、読む英文の量がさらに増えているので正確で速い読解力が求められた。
③スピーチ文(23点)
・去年度の大問4とほぼ同じ形式。共通する英単語を入れる1問以外すべて選択式で、これも速く正確に読む力が求められた。
・昨年度よりはひねった出題にはなっておらず、他県や問題集でもよく見られる形なので解きやすかったはず。
④説明文、発表文(27点)
・昨年度の大問3とほぼ同じ形式。説明文とそれに関する発表原稿という、複数の文章を読み答えるもの。
・「物を大事に使う取り組みや考え方」が日米を例に取り上げられており、SDGsにも通ずるような内容で比較的読みやすかったのではないか。
・読解問題、穴埋め問題、イラスト並び替え問題、抜き出し問題、自由英作問題など問題の種類が多岐に渡っており、今までの長野県の英語出題形式が総まとめ的に出ているような印象。
今回は以上です。最後までお読みいただきありがとうございました。
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