みなさんこんにちは!
まつがくでは生徒の皆さんへの進路指導のために、随時、高校の先生にお時間をいただき、お話を伺っています。
今回は長野市、市立長野高校にお伺いしてきましたので、その内容をご報告します。
日にち:2018年11月1日(木)
お話をしてくださった方:井出教頭先生(高等部)
インタビュアー:松本・會津
Q:総合学科は目的意識を持っていないと入学後が厳しいと聞きますが、「高校に行ってから自分の目標を探したい」という生徒は不利になりますか?
A:そのようなことはありません。
高校の総合学科には「産業社会と人間」という授業があり、1年生は全員履修することになっています。
ここでは「話の聞き方」や「メモの取り方」など、社会に出たときに必要な基礎スキルを学ぶことから始めます。
その他にも新聞記者や大学教授等に講演をしていただくなど、自分の将来を考え、働くことや社会人になることの意味を考える機会を作っています。
ちなみに、「産業社会と人間」の年間のカリキュラムは以下の通りです。
前期(4月~9月):自分たちが学んだことをまとめ、発表する。
夏休み:ボランティア活動や、インターンシップを行う※希望者のみ
後期(10月~):進路にかかわる本を1冊読み、まとめたことを発表する。この経験を通じて「情報発信力」を育成する。
1月以降:課題探求をテーマにし、医療や保育など14分野から各自テーマをみつけ、パワーポイントでプレゼンを行う。
この1年間を通し、生徒に自分の進路について考えてもらい、高2進級時に進路を選択します。
ですので、入学前に目標がしっかり決まっていなくても大丈夫です。
ただ、興味があることを深く掘り下げられる生徒が理想なのは間違いないですね。
Q:市立なので、高校入試ではやはり長野市在住の生徒の方が有利なのでしょうか?
A:それはありません。
純粋に点数のみで合否を決めています。
ただし、長野市立中学校に出願できるのは長野市在住者のみです。
Q:生徒の男女比はどのくらいですか?
A:前身が女子校でしたのでやはり女子からの人気が高いですね。
本校は水泳の授業が必修ではないのですが、それも理由のひとつかもしれません。
ただ、以前は男女比が1:2くらいだったのが、今は45:55と、ほぼ半々になっています。
Q:高2までに進路が決まらない生徒はどのようにフォローしていますか?
A:まずは漠然とでもいいので、大まかに進路の方向性を決め、科目選択をしてもらいます。
それでもどうしても難しい場合は、普通科のような幅広い科目選択をしてもらいます。
ちなみに就職を目指す生徒は文系を選ぶ傾向が高いですね。
Q:総合学科として、大学進学に有利な点は何かありますか?
A:探求的な科目が多く、プレゼンも積極的に行うので、それが推薦入試やAO入試において有利になっていると思います。
Q:2020年に市立長野中学校第一期生が高校生になりますが、どのような変化が予想されますか?
A:確実なことはまだわかりませんが、中学からの持ち上がりの人数分、高校からの新規受け入れ枠は減る可能性があります。
また、中高一貫クラスと高校新規クラスを分ける予定はありません。ただし、いずれにしても今後変更になる可能性はありますので、正確な情報は来年に確定次第、発表します。
Q:今後、農業・工業系の授業を増やす予定はありますか?
A:進学する生徒がほとんどなので、普通科系の授業の方がニーズが高く、農業系の授業は今のところ増やす予定はありません。
工業系については未定ですが、現在も長野高専と部活で交流があったり、中学生を対象に出張授業をやっていただいたりしているので、その連携をさらに強めていければ、とは考えています。
Q:2020年より英語教育が大きく変わりますが、どのように対応する予定ですか?
A:スピーキングの導入は未定です。ただし、専属のALTがおりますので、より活躍していただく予定です。
外部検定は英検とGTEC(※1)を利用する予定です。
英検の目標は現時点では特に決めていません。
※1:英語運用能力を技能別に絶対評価で測定する検定。「読む・聞く・書く・話す」の4技能を測定できる。
Q:高校生の通塾率はどのくらいですか?
A:今年の4月にデータを取った時にはおよそ1~2割くらいでした。
Q:eポートフォリオ(※2)の活用は今後どのような予定ですか?
A:高校1年生にはクラッシー(※3)を導入しました。
保護者の関心が高まっていることは感じています。
ただ、「産業社会と人間」の発表も紙ベースですので、活動内容は主に紙で残すことになると思います。
※2:学生の「学び」の記録を電子化し、教員と共有することで進学や就職に活用するシステム
※3学校向けに開発されたクラウドサービス。教師・生徒・家庭間のデータ共有にも活用されている。
Q:地域との交流を重要視していますが、今後もそれは継続する予定ですか?
A:その予定です。
今後はフィールドワークなど、中身も充実させていきたいですね。
また、近隣の学校(高専・清泉短大・信大工学部など)の学生や研究室とも交流させていただいているので、それも拡大していきたいと考えています。
【感想】
市立長野高校・中学は長野県唯一の市立校です。(2018年10月時点)
校舎が新しく、設備もかなり充実しているため、それが理由でこの学校を選ぶ生徒も多いです。
総合学科ではありますが、卒業後の進路が就職よりも進学が多い(※4)ため、その実情にあわせて普通科系の授業が充実しています。
中学校を併設してまだ間もないため、今後どのように変化していくのかが期待されます。
井出教頭先生、お忙しい中お時間をいただきありがとうございました!
※4:2018年度進路実績 四年生大学88名/短期大学10名/専門学校39名/就職4名、他
市立長野高校・中学公式サイト:http://www.nagano-ngn.ed.jp/ichinagahs/
他の学校のインタビューはこちら