【この記事はこんな方におすすめです】
・2023年度長野県公立高校後期選抜の出題傾向を知りたい
・大問ごとの配点を知りたい
こんにちは!
超個別指導塾まつがくの阿由葉です。
今回は2023年3月7日に実施された長野県公立高校後期選抜試験についての分析です。
1.国語
総評:大きな変化/変更なしで易化した印象
① 論説文(34点)
・ここ数年出題されていなかった自然科学に関する文章が問題文として出題されました。
・出題形式に大きな変更はなく、指定語数の抜き出し問題や品詞の識別問題などが出題されたものの、記述問題は最後の問いのみで、多くの問題が記号問題であったため、正確な読解力が求められました。
② 意見文(18点)
・討論と資料を読むという形式は例年通りでしたが、配点が18点に増加しました。
・令和3年度から記述力も求められるようになり、その傾向が続いています。
③ 漢字(6点)
・実生活に結びついた実践的な問題形式となっている「間違え探し」問題が出題されました。
④ 古文
・近年は、古文と漢文を合わせての出題が頻繁に行われており、今年もその形式でした。また去年に引き続き「まとめ」が古文・漢文読解のヒントになっている形になっていました
⑤ 小説
・論説文と同様に、大きな出題形式の変更はなく、過去問をしっかり解いていれば比較的容易に解くことができると思います
2.数学
総評:ほぼ例年通りだが徐々に変化の兆しも見られる
①小問集合
・形式に大きな変化もなく、去年に続きこの段階では記述問題は出題されませんでした。
・配点も変わらず36点で、大問2と合わせてここで点数を稼いでおきたいところです
②中問集合
・例年3問出題されるところですが、今年は2問構成でした。
・1問目は、新指導要領で追加された単元である箱ひげ図でした。問題自体は教科書(啓林館)の例題に似ており、取り組みやすい印象でした。
・2問目は、文字を使った説明(規則性、方程式)でした。数字そのものを使った形式はH25以来です。まつがく生は受験対策トレーニングで類問を多く取り組んでいたため、対応はしやすかったはずです。
③関数
・去年に引き続き2部構成でした。
Ⅰ:水のタンクの問題。問題週や他県の過去問に類問が多く、受験対策トレーニングを含め問題演習を多く積んできた生徒には取り組みやすかったはずです。誘導としてグラフを利用させようという形は、長野県の出題の特徴にもなっています。
Ⅱ:グラフと図形問題。ここ数年頻出となっており、2部構成を含めて定着しそうな印象もあります。さらに、平行な傾きと等積変形を使うパターンが出題されました。これは他県では頻出ですが、長野県ではあまり出題がなかったものです。こうした傾向が続けば、今まで類題があまりなく対策が難しかった大問3も、大分取り組みやすくなるのではないでしょうか。
④図形
・今年度は予想通り、円に内接する三角形にまつわる問題が出題されました。
・最初から最後まで証明を書く、という問題は出題されませんでしたが、証明の途中を書くような形式が3問も出題され、少し戸惑ったかもしれません。
・最後の2問はなかなか難しいですが、それ以外の問題は例年並みの印象です。
3.社会
総評:全体的に問題数と記述量が減り、バランスが改善された
◯記述問題
・指定語を使用する問題が非常に増えました。去年は記述問題14問中1問だけでしたが、今年は12問のうち7問が指定された語を使っての形式でした。
・さらに、総文字数も約370文字に減少しました(去年は約530文字、一昨年は約400文字でした)。
①歴史(28点)
・今年は「稲作」がテーマでした。
・記号問題と記述問題で構成されており、一問一答式の知識問題はなかったため、深い理解力が求められました。
・記述問題は2問ありますが、どちらも正答例が教科書(東京書籍など)に載っている文章に酷似していたため、一種の知識問題として解くことができたはずです。
②地理(36点)
・日本地理:しばらく出題がなかった北海道がテーマとなりました。北方領土やアイヌ文化振興法など、その地域に特化した問題も出題されました。
・世界地理:ブラジル(南アフリカ州)がテーマとなりました。記述問題や資料の読み取り問題がメインでした。
・指定語を使う問題も多かったものの記述問題が6問に増え(過去2年は5問でした)、さらに筆記で答えを書く問題が多かったため、例年よりも受験生が苦労したと思われます。
・歴史とは異なり、地理の記述問題は知識を前提とした上で、表やグラフなどの資料を正確に読み取らないと解けないものが多いので注意が必要です。
③公民(36点)
・企業や経済分野が大きなテーマでした。
・長い記述問題は、再生可能エネルギーがテーマであり、SDGsを意識させる出題でした。この形式では、解答が生徒によって様々異なるパターンとある程度決まっているパターンの2つがありますが、今回は後者で、地熱発電のメリット(理由)とデメリットを正確に資料から読み取る必要があります。
4.理科
総評:実生活への結びつきを意識した導入は今年も継続。記述問題の形式に変化が見られる
①生物
Ⅰ:中1範囲の植物分野ですが、問題で出てきた観察については、受験生が初めて見るものだったと思われます。難易度としてはそこまで難しいものではありませんが、観察をしっかり追っていく読解力が試される出題とも言えます。
Ⅱ:中2範囲の人体、反射からの出題です。これも、実験自体はあまり見たことがないものですが、設問自体は標準的な印象です。
②化学
Ⅰ:中2の発熱反応の実験からの出題です。記述問題はただ書かせるのではなく、なぜこの数値(パーセント)を使うのか?を問う形で出題されました。
Ⅱ:中3のイオン分野、金属片と水溶液を使った実験問題です。これも、あまり見たことがないもので、酸とアルカリについてきちんと理解していないと解くのは難しかったと思われます。
③地学
Ⅰ:「けあらし」を導入とした、飽和水蒸気量と雲のでき方の実験問題です。中2の地学分野を広くカバーする出題のため、知識の抜けがある場合は、取りこぼしが多かったはずです。
Ⅱ:去年の太陽光パネルを導入とした問題と似ており、少し取り組みにくい問題です。
④物理
Ⅰ:中1分野の音からの出題です。問題集などに類問が多いパターンで、内容も教科書レベルという印象です。
Ⅱ:熱量の実験問題です。電力量と熱量の換算問題は、長野県では出題がなかったため、苦労した生徒が多かったと思われます。
5.英語
総評:記述問題やリスニング問題の日本語での筆記など、形式の変化が見られた
◯難易度
・記述問題と記号問題の割合は39:61で去年と同じでした。
・文章量(単語数)も非常に多く、記述力が相当に求められたため、去年同様難しい試験だったと思われます。
①リスニング
・今までの問題形式と異なり、内容をまとめた文の空欄に単語を書き入れる問題が1問だけですが出題されました。
②会話文・短い長文
・ここ数年は安定しているようです
・語形変化の問題は動詞を変形させるだけではなく、主語なども補って書く必要がある形式に変更されています。初見でこの形に慣れるのに手間取った生徒もいたと思われます。
③スピーチ文
・ここ数年、出題形式はほとんど変わっていませんが、長い間出題されなかった、傍線部を日本語で説明させる問題が出題されました。
④複数の長文を読む問題
・ここ数年で定着した形式で、投書、2つのウェブサイト、3人のやり取りの計4つのまとまった文章を読み、それぞれが独立した問題になっています。今後はそれぞれの文章が関連した問題になる可能性もあるため、注意が必要です。
今回は以上です。最後までお読みいただきありがとうございました。
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