卒業生x校舎長対談 卒業生x校舎長対談

電車で小諸駅前校に通って、屋代高等学校附属中学校(以下、屋代附属中)に合格した山野そよかさん。教科型対策で土台を固め、得意な適性検査型試験に向けて粘り強く取り組みました。決して楽ではなかったはずですが、大好きなバスケットボールと両立しながら、学ぶこと、問題を解くことの楽しさも手放しませんでした。

うすだスタードームの職員などたくさんの夢を持つ山野さん。受験期を見守った金井淳先生と、合格までの道のりを振り返ります。

山野そよかさんのデータ

●出身小学校/御代田南小学校 ●これからの目標・夢/うすだスタードーム職員、ユーチューバー

小5・12月

公式サイト経由で冬期講習を体験

1月

小諸駅前校に入塾。週1回のペースで通塾。通常コースでatama+算数に取り組む

3月

atama+国語も追加

小6・5月

中学受験コースへ切り替えて、通塾ペースを週2に増やす。教科学習用テキスト『ピラミッド』小5理科・社会を開始。月曜日はatama+算数と理科、金曜日はatama+国語と社会に取り組む

5~8月

教科型模試を3回受ける。佐久長聖中はC判定、屋代附属中はD判定

8月

屋代附属中を第1志望にして過去問に取り組み始める。初回から得点できており、適性検査型向きであることが裏付けられる

9月

「公立中高一貫校適性検査対策模試」を3回受ける。1回目が上位5%、2回目が1%、直前の3回目が45%。紙に書く方法での面接対策もはじめる

10月

・通塾を週3回に増やし、過去問演習や面接(口頭)を進める
・佐久長聖の過去問では合格圏内
・屋代附属中の過去問演6年分を終え、その結果をもとに適性検査型問題集の理科を追加する

11月

・グループ形式での面接練習を開始し7回以上練習する
・11/23に佐久長聖中の入試があり合格

12月

・12/7に屋代附属中の入試
・試験後は中学に向けて先取り学習を開始する
・12/17屋代附属中に合格

1.教科型を土台に適性検査型を積み上げる

中学受験できる状況をつくるために

金井

そよかさんが小5の12月に、まつがくの公式サイト経由でお母様からお問い合わせがあり、冬期講習に参加してくれました。他にも検討した塾はあったんですか?

山野

3校ほど資料請求して、2校に見学に行ってまつがくに決めました。まつがくは、自分の好きなペースでわかるまでしっかりと教えてくれるところがよかったです。

金井

入塾面談の時に、小さい頃から言葉が早く、向上心や好奇心が強くて自分から学んでいくタイプなので、教科型より適性検査型の入試のほうが向いてるんじゃないかと、お母様からお話がありました。その後、中学受験も選択肢に入れつつ、まずは通常コースからスタートしました。

山野

週1回、自宅最寄り駅から電車で通って、atama+算数をするところからはじめました。

金井

そよかさんは、理科と社会、読んだり書いたりするのが好きですよね。いつもまつがくで学習をはじめる前に、かならず学校から借りた本を読んでいる姿が印象的でした。

山野

文章を読むのは得意ですけど、漢字は苦手です。

金井

中学受験をやるなら国語をしっかりやったほうがいいということで、atama+国語を追加しました。

適性検査型に向いている?

金井

小6の5月から中学受験コースへ切り替えました。

山野

その頃には、いくつか学校説明会にも行っていました。

金井

佐久長聖と新島学園と屋代高校附属中が候補でした。まずは、学習塾用の教科型試験対策のテキストを始めました。教科学習は土台の部分なので、そこを最初に固めたかったんです。佐久長聖と新島学園は教科型で、そよかさんなら大丈夫だろうと、この時点で予想していました。適正検査型の屋代高校附属中はこの時点では未知数でした。

山野

5月から8月にかけて教科型の模試を3回受けて、合格率があまりよくなかったです。

金井

特に、屋代高校附属中は適性検査型だけど、模試は教科型だったから、そのねじれはありましたよね。

山野

もうちょっと点が取れればよかったなと思っていたし、得点が低い単元があったのでもっとがんばろうと思っていました。でも、結構取れている単元については「私、○○が得意なんだな!」と思えて、学習のモチベーションが下がることはなかったです。

金井

それは良かったです。いちばん波があった算数も、atama+算数で最終的には波がなくなっていきました。それに、3回の模試の後に屋代高校附属中の過去問をやってみたら、最初から6割弱取れていたんですよ。教科型が得意な生徒さんと適性検査型が得意な生徒さんは分かれることがあるんですが、そよかさんは適性検査型向きだとという手ごたえがありました。

山野

正解できている感触があって、教科型より合っていると自分でも思いました。

より実践的な模試を受ける

金井

8月頃には第1志望は屋代附属中と決めました。9月から、長野県版の公立中高一貫校適正検査対策模試を3回受けました。受験者数が500人くらいと多いので、自分が現状どの位置にいるのか参考になります。その模試でそよかさんは、1回目が上位5%内、2回目が1%内に入りました。ただ、3回目が45%以内になってしまって、そよかさん覚えてる?

山野

算数、理科が苦手な問題だったのかもしれないです。

金井

そうだよね。3回目は直前期だから受験者数が多かったこともあると思います。ただ、45%以内でも屋代附属中の合格圏内だから、実は悲観する数字ではない。

山野

これと同じ傾向の問題が本番で出たらどうしようという不安は少し残って、大事なところは押さえておかなきゃと思いました。

2.好きなバスケットボールと両立する

面接練習は書いて考えをまとめるところから

金井

9月からは、面接対策として、まずは面接の答えを紙に書くところから始めました。

山野

最初は基本的な質問で、志願理由、中学でがんばりたいこと、卒業した後にがんばりたいこと、将来の夢、屋代附属中の理念である質実剛健や文武両道について、お題を出してもらっていました。

金井

書いてくれた答えに赤字でツッコミを入れて、より深掘りしていくという感じです。どの生徒さんも同じで、いきなり口頭よりも文字でやり取りしたほうが、考えがまとまってクリアになりやすいです。

山野

屋代高校附属中が文武両道や質実剛健を掲げているのは知っていたんですが、答える内容はちょっと自信がありませんでした。

金井

そして口頭での練習に移りました。

山野

最初は、どう言えばいいのかとか、どこまでくわしく話したほうがいいのかといった加減がわからなかったから、あんまりくわしく話せなかったです。

金井

質問内容もですが、個別面接とグループ面接で対策が変わってきます。屋代高校附属中は受験生7人のグループ面接で、ひとつの質問に対して順番に答えていきます。面接官との会話のキャッチボールがないので、1回で話しきるためにある程度長い答えを準備しておいたほうがいい。そのさじ加減ですよね。

山野

前の人の答えと同じだったり、似ていたりするところはあったんですが、幸い「これがやりたくて入学したい」というところは被っていなかったです。

バスケの時間は減らしたくなかった

金井

10月から通塾を増やして週3回にしてもらいました。この時期から面接対策の頻度も増やしたかったためです。

山野

それまでは、模試を自宅で受けるとか、適性検査型対応の問題集を宿題でやるなどはありましたが、受験勉強はほぼまつがくでやっていました。バスケットボールのスポーツ少年団に入っていたので、両立は楽ではなかったです。

金井

バスケはいつからやっているんでしたっけ?

山野

小4からです。受験期間中は学校説明会など以外は、練習も試合も休まず行っていました。まつがくを週3回にする時も、バスケは減らさずにバスケのない火曜日を追加しました。

金井

直前期でもバスケもまつがくも週3でがんばったんですね。バスケはいい気分転換になっていたんじゃないですか?

山野

学校が違う友だちにも会えるし、自分がやりたいことをみんなで楽しくできたからとてもよかったです。

金井

お友だちで中学受験した人はいましたか?

山野

同じ小学校から屋代高校附属中を受けた人は5人いました。そのうちのひとりがとても仲よしなクラスメイトでした。新島学園や佐久長聖を受ける人もいたので、仲間は結構いましたね。屋代高校附属中と新島学園の説明会が同じ日で、それぞれの説明会に行った人との間で「こんな感じだったよ」と情報交換していました。

3.学ぶことは楽しい

定員が減ってしまった

金井

10月に適性検査型問題集の理科を追加しました。屋代高校附属中の試験は適性検査「Ⅰ」と「Ⅱ」があって、Ⅰが国語・社会、Ⅱが算数・理科と分かれています。そよかさんに限らず、Ⅱは平均点が低い傾向があるんですね。合格率を上げるならⅡの強化ということで追加しました。

山野

10月半ばに佐久長聖の過去問にも取り組みました。佐久長聖は小学部ができたことで、今年から定員が大幅に減ったんですよね。

金井

小学部からの持ち上がりがあるからね。実質どれくらい減っているかはなかなか読めませんでしたが、小学部がなければ中学部で受験していたであろう人たちなので、結果的には変わらないだろうと考えていました。

金井

その後、10月末に屋代附属中の過去問を終えて、学力は伸びていました。

山野

この時期は、ひたすら過去問をやっていました。

金井

令和2年度から6年度までの過去問を2周やり、直前は時間を測りながら、本番でのペース配分をや、どの順番で問題を解いていくとより高得点になるかということを意識しながらトレーニングを行いました。そして、11月23日に佐久長聖の入試です。緊張しましたか?

山野

初めてだったからすごく緊張もしたし不安でしたが、学校の友だちがメールで励ましの言葉を送ってくれて勇気が出たし、会場に友だちが何人かいたから、がんばろうと思えました。

金井

1週間後に合格がわかります。

山野

ひと安心でした。

今までの努力のおかげだね!

山野

屋代附属中の試験直前は、やれることをやって、出せる力を出しきったから本番もがんばろうという気持ちでした。当日は友だちと一緒に行ったし、いろんな話もしたので、試験がはじまる前には緊張はほぐれていました。

金井

筆記試験はどうでしたか?

山野

過去問で練習したのと同じ順番で解いて、わからないところも部分点がつくので空欄はないようにしました。

金井

適正検査Ⅰは最後の大問4で長文の作文問題が出るんです。配点も高いし部分点もつくので、早めに手をつけてほしい問題です。ただ、これまでは400字だったのが、今年は半分の200字になっちゃったんですよね。

山野

問4を見た時に「あれ? 少ない?」と思いました。文字数が多くならないように注意しないといけなかったです。

金井

適性検査Ⅱのほうはどうでしたか?

山野

ⅡはわからないところがⅠより多かったので、心配でした。

金井

私はおそらく大丈夫だろうと思っていましたよ。試験後は、計画通り2日後には中学の先取り学習を始めました。佐久長聖中に進学するとしても必要なことで、早めにやっておくに越したことはありません。合格発表は10日後でした。

山野

家で見ました。最初はすごくびっくりしましたが、合格して嬉しかったです。お母さんから「すごいよ! 今までの努力のおかげだね!」と言われました。

金井

そよかさん、びっくりしたんですね。お母様は心配されていた時もあったから、ホッとされたでしょう。合格もだけど、そよかさんの努力をほめてくれたのは嬉しいですよね。

星空の美しさに感動して

金井

そよかさんの将来の夢は、うすだスタードーム職員、ユーチューバーです。面接の練習を通して、一番は「うすだスタードーム」に絞り込まれました。今も変わりませんか?

山野

変わりません! 小4で星空の観察の宿題が出て、友だちと一緒に観察しに行ったんですけど、初めて星空をじっくり見てこんなにきれいだったんだと感動しました。私は小2まで東京に住んでいたので星空を見る機会がなくて。それから、うすだスタードームや星空関係のイベントに参加するようになりました。

金井

うすだスタードームの職員には、どうやったらなれるんだろう。

山野

職員の人に聞いたことがあるんですけど、「とりあえず星を好きでいてください」と言われました(笑)。

金井

それがいちばん大事かもしれないですね。もう少し手前の夢として、中学に入ってからやりたいことはありますか?

山野

屋代附属中では、探求的な学習で自分が知りたいことを調べる時間があるので、星空のことを調べたいです。

金井

最後に、これから中学受験をする人に向けて、そよかさんからアドバイスがあれば教えてもらえますか。

山野

中学受験は、自分がやりたいことをやるためにすると思うので、やりたいことがある人はどんどんチャレンジしてもらいたいです。あとは、本当に行きたいなら、受験勉強が大変だからと途中で諦めるんじゃなくて、がんばってほしいですね。勉強はたくさんやって損はありません。万全に準備してください。

金井

アドバイスをありがとう。そよかさんはいい意味でマイペースで、自分を持っている人だと思います。見ていて安心感がありました。あとは、学ぶことを結構楽しんでいますよね。受験だからやらなきゃ、というつらそうな感じがあまり見受けられませんでした。

山野

自分の知らないことを知ったり、問題が解けるとスッキリしたりするので、勉強は嫌いじゃないです。

金井

頼もしいなと思って見ていましたよ。そよかさんは、中学受験で本当に大きく成長したと思います。好奇心やチャレンジ精神が旺盛なので、中学校でも自分の進みたい道をきわめていってもらいたいですね。これから先も楽しみにしています!

 

取材・文/くりもときょうこ