卒業生x校舎長対談 卒業生x校舎長対談

上田染谷丘(そめやおか)高等学校の西澤凜さんは、高3の7月にまつがく上田駅前校に入りました。教師になるのが夢で、当初は社会科教育コースが志望。ところが、信州大学のオープンキャンパスで心をつかまれた美術教育コースに変更することを決意します。

美術の専門教育は受けていませんでしたが、まつがくと担任の先生のサポートで努力を続けます。危機感に後押しされた怒涛の追い上げで模試の判定はEからAに上がり、見事合格しました。

上田駅前校で西澤さんの指導にあたった山本雄一先生とともに、短いながら濃い受験期を振り返ります。

西澤凜さんのデータ

●出身校/長野県上田染谷丘高等学校 ●将来の夢/教師

高3・7月

友人のすすめで高3の夏期講習会を経て入塾。信州大学教育学部の社会科教育コースが志望。atama+で英語・数学・古典をはじめる

8月

夏休みに入り、驚異的なスピードで学習を進める。入塾2週間後にはatama+数学ⅠA(レベル1)をコンプリート。週のatama+学習時間は1500分を超える

9月

夏休みのオープンキャンパスで志望を図画工作・美術教育コースに変更。atama+の数学をもう1周しつつ、共通テストAI特訓のおすすめ目標設定単元を重点的に行う

10月

理科・社会の学習も進める。9月の模試では全体的に成績を伸ばして志望校はA判定

1月

共通テストは71.5%の得点率

2月

・二次試験のデッサン実技対策として担任の先生(美術)から指導を受ける
・併願した私立大学(文教大学、明星大学)は共通テスト利用と一般入試を受験
・信州大学の二次試験(前期試験)を受験

3月

第1志望の信州大学教育学部図画工作・美術教育コースに合格

1. 夏は怒涛の追い上げ

入塾2週間でatama+をコンプリート

山本

西澤さんがまつがくに入ったのは、高3の夏期講習会でした。まつがくのことはどうやって知ったんですか。

西澤

友だちが通っていて、すすめてくれました。部活はソフトテニス部で、上田染谷丘高校は全国大会に出るくらい強くて、忙しかったんです。7月以降は全国大会に出る人以外は部活が終わるので、そのタイミングで入りました。

山本

入塾時の面談では、小学校の先生になりたいというのと、信州大学教育学部の社会科教育コースを専攻したいと言っていました。高3の4月に受けた河合塾全統共通テスト模試では、5教科の偏差値が43.4、英語は34.2で信州大学教育学部社会科教育コースの判定はEでした。

西澤

まつがくに入る前まではテスト勉強をがんばるくらいで、受験勉強はほとんどやっていませんでした。

山本

atama+で英語・数学・古典(古文漢文)をまずやることになりました。

西澤

文系だったんですけど、英語が苦手で数学が得意だったんです。古典は勉強方法も知らなかったほどで、一緒にとれば全部できると聞いたので取り組むことにしました。

山本

共通テストの得点源として、古典を固めておくのはいい戦略ですね。

西澤

週1回、MIC(まつがく・インディビジュアル・コーチング)の時に英単語テストをやってもらっていました。

山本

上田駅前校は、英単語テストは高校生全員やっているんです。atama+の英単語にプラスして、発音もうまくなってほしいという思いがあって、独自の英単語テストをはじめました。

西澤

土曜日は共通テストAI特訓もやっていました。

山本

2023年から導入したものですね。西澤さんがすごかったのは、入塾して2週間でatama+の数ⅠAをコンプリートしてしまったこと。4月の模試の結果を聞いた時に「ちょっと厳しいんじゃないかな」と思ったんですが、気づいたら、あれよあれよという間に学力を伸ばしていました。

西澤

危機感がありました。

山本

急にすごいペースで勉強をはじめて大丈夫でしたか?

西澤

勉強に関してはこれまで全然やってこなかったので、焦りのほうが強かったです。

オープンキャンパスで志望コースを変更

山本

息抜きはどうしていましたか?

西澤

スマホのスクリーンタイムを活用して、推しの動画を見て息抜きしていました。日中は最低限の機能だけ使えるようにして、塾が終わってから次の日学校に行くまでの間だけYouTubeなどを見られるように設定していたんです。見られるのは寝る前だけですけど、ストレス解消になっていました。

山本

知らなかった! スマホの設定を工夫して、学校と塾に行っている間は見られないようにしていたんだね。西澤さんはお友だちにすすめられて入ってくれたから、まつがくではお友だちと勉強していましたよね。お友だちや周りの人が勉強している姿に引っ張られてがんばれたということはありますか?

西澤

はい。塾に行くと、友だちだけじゃなく、常連さんみたいな人がいて。

山本

いつも同じ席に座って勉強している人がいますね。みんな好きな席があるから、その席を他の人に取られてしまうと悔しいんだよね。

西澤

(笑)

山本

夏休み中は、まさに怒涛の追い上げでした。先ほど触れた数ⅠAもですけど、atama+の英文法・語法もコンプリートして、古文基礎は半分以上修了。atama+の勉強時間は週1500分を超えていました。

西澤

自分ではそんなにやっていたと思っていませんでした。

山本

9月になってから、志望を社会科教育コースから図画工作・美術教育コースに変更します。これはやはり、夏休み中に行ったオープンキャンパスが大きかったですね。

西澤

フロアにろくろをはじめ、さまざまな美術関係の道具が並んでいて、それがすごく良かったんです。

山本

もともと美術が好きで、趣味で絵を描いたりしていたんですか?

西澤

美術はもともと好きでした。絵を描くなどはそんなにやっていたわけではないです。

山本

担任の先生が美術の先生だったのも大きかったですね。

西澤

はい、担任の先生の影響は大きいと思います。自分の世界を持っていて、見たことのないような面白い先生で。先生は、大竹伸朗さん(現代美術家)のコラージュを参考にした作品を、長い時間かけてちょっとずつつくっていました。

山本

学力的には伸びていて全然心配はなかったんだけど、二次試験は実技か小論文のどちらかなので、それが心配でした。西澤さんは実技を選んだんだよね。

西澤

小論文がすごく苦手で、絵のほうがまだちょっと得意と思える感じだったので。

山本

12月の懇談の時点で、学校の先生から「お前の画力じゃ、あと2年かかる」って言われていたよね(笑)。それですごく心配になって絵を見せてもらったらとても上手だったので安心しました。よく冗談を言う先生だったんだよね。

西澤

はい。私もその言葉は真に受けてはいませんでした(笑)。

2. 5か月で模試の判定はEからAへ

問題集と模試で力をつける

山本

入塾してわりとすぐの8~9月がいちばん学力を伸ばしていました。9月末の段階で、atama+の数学がレベル1でⅠAとⅡBが9割がた仕上がっていて。

西澤

えっ?

山本

そうなんですよ。見直したらそうでした。もう1周やろうという話をしつつ、共通テストAI特訓の「おすすめ目標設定単元」を重点的に行うことにしました。駿台模試の結果を受けて、atama+のAIが重点的にやったほうがいい単元をおすすめしてくれるんです。

西澤

問題集的な使い方でした。

山本

基礎固めを終えて、問題をとにかくたくさん解いていく段階に入りました。そして、10月からは理科と社会の勉強をはじめます。理科は生物基礎と地学基礎、社会は日本史でした。他の志望校ならば社会はふたつ必要だったんですけど、ひとつでよかったんですよね。

西澤

理科はけっこう得意で、生物基礎はもともとわりとできていました。地学は1年生の頃から何もやってなかったんですけど、やればいけるなと。

山本

文系で理数科目が得意だと、有利ですよね。

西澤

日本史は取り組むのがちょっと遅くて、ギリギリになってしまいました。

山本

理科も社会も、学校で配られる問題集で対策していました。

西澤

冊子に書き込んで、とりあえず暗記しまくっていました。

山本

問題集で力をつけて、AI特訓の模試で学力の判定をしてと、うまく併用していました。国語の現代文も学校で対策していましたね。

西澤

学校の授業で使っているもので対策していました。国語は苦手で、小説文はまだいいんですが、論説や古典が苦手で。

山本

そうは言いつつも、ある程度自学で対策できていましたよ。

最後まで残る不安な気持ち

山本

9月にあったベネッセの模試と、駿台atama+模試で全体的に成績を伸ばして、志望校の信大はA判定が出ました。4月はE判定だったわけですから、ものすごいジャンプアップです。

西澤

AI特訓ではいい点が取れるんですけど、学校の練習模試では全然点が取れなくて、自信はなかったんです。

山本

問題の質が違っていたのかもしれない。僕としては、他の模試の結果は良かったし、AI特訓も全部できていたので、全然心配していませんでした。ただ、すごく不安そうだったよね。

西澤

帰り際、先生に「これはこういうことで大丈夫ですか?」「この勉強方法で合っていますか?」とよく聞いていました。

山本

印象に残っていますね。「全然大丈夫だよ」といつも言い続けてたんだけど、どうしても不安だったみたいだね。11~12月はほぼ毎日来て、がんばって勉強していたんですけどね。共通テストの直前はどんな心境でしたか? 不安なままだったのか、ある程度吹っ切れてなんとかなりそうという感じだったのか……。

西澤

両方でした。

山本

「不安」と「大丈夫」のアンビバレントな気持ちだったんですね。お父様の職場が上田だったから、懇談にはお父様がよく来てくれていました。

西澤

父は私より不安になって、直前は緊張していました。逆に母と姉が楽観主義者で、「大丈夫じゃない?」という感じでした。

山本

そして迎えた共通テストは、7割以上得点しました。

西澤

自己最高得点でした。でも終わった直後は、英語をやらかしてしまったかもと思っていて。

山本

西澤さん自身は点数を取れた感触があったけれど、周りの人たちは「難しかった」と言っていたんだよね。確かに共通テストの英語は難しくなっていました。

西澤

学校で自己採点したらけっこうできていて、めっちゃびっくりしました。

3. 仲間意識に励まされた

デッサン1000本ノック

山本

共通テストが終わったら、二次試験はデッサン実技のみ。まつがくの手は離れて、担任の美術の先生とデッサンの練習を続けていました。

西澤

午前中は学校で石膏像をモデルにデッサンをして、先生に見せに行ってアドバイスをたくさんもらっていました。

山本

信大の過去問では、デッサン実技は西洋像で3時間となっていました。先生のアドバイスはどんな感じだったんですか?

西澤

担任の先生のアドバイスは厳しめでした。良くても「悪くはない」みたいな。

山本

自分自身では、デッサンが上達している手ごたえはありましたか?

西澤

少しうまくなりました。

山本

家でもデッサンの練習はやっていたんですか?

西澤

石膏像はいくらでも借りていいと言われたので持ち帰って、午後は家でずっと描いていました。

山本

そして、2月下旬に二次試験本番です。直前の心境はどうでした?

西澤

めっちゃ不安でした。自分ではレベルが分からないので。

山本

そうですよね。5教科ならば点数や偏差値が出ますが、デッサン実技は自分のレベル感が分かりにくい。周りに同じところを目指している人もいないしね。

西澤

そうなんです。美術の専門教育を受けていないこともあって、自分のデッサンのレベルが分からないままでした。

山本

同時に、私大も受験しました。文教大学と明星(めいせい)大学。どちらも美術教育のコースでした。

西澤

文教大は共通テスト利用と個別試験を両方受けました。個別試験向けの対策もしたんですけど、文教は難しくて、個別試験では不合格で、共通テスト利用で合格しました。

山本

共通テストが終わってから週1回、こちらで個別試験の過去問を用意してやってもらっていました。英語と国語と日本史で、実技はなし。明星大は共通テスト利用のみで合格でした。

過去問と違っていた課題

山本

そしていよいよ信州大学の二次試験。ここで想像外の事態が起こったんだよね。

西澤

課題はこれまでずっと西洋像だったのに、日本の仏像だったんです。試験会場に入ったら仏像が置いてあって。

山本

だいぶ違うよね。

西澤

でも、個人的には仏像のほうが全然楽なんです。西洋像は髪の毛や目がくっきりしていて、苦手だなと思いながら描いていたんです。仏像は全体的に凹凸が少なくて描きやすかったです。嬉しくてニヤニヤしていました。

山本

いやぁ、面白いよね。マンガみたいなシュールな展開で。デッサンだと周りの人が描くものも見えてしまいそうですが。

西澤

それが、全然見えないようになっていたんです。

山本

自分のデッサンに集中できていいですね。担任の先生に、課題が仏像だったことは話したんだよね。

西澤

びっくりしてました。

山本

合格発表まではどんな気持ちでいましたか?

西澤

ちょっと自信はあったんですけど、なにぶんレベルが分からないので。

山本

自分としては結構描けたなと思っても、周りのレベルが高かったら合格に届かない可能性はあるからなぁ。合格発表は当日、ネットで見たんですよね。

西澤

家でお母さんと一緒にネットで見ました。

山本

僕は仕事が休みだったので、家からネットで見ました。ドキドキしながら見て、番号を見つけて。担任の先生もすごく喜んでくれたでしょう。

西澤

すごく喜んでいました。でもまだ、先生と対面していないんです。合格発表が卒業式後だったのと、会う予定だった日に都合が悪くなってしまって。

受験を越えて得た自信

山本

大学に入ったら楽しみにしていることはありますか。

西澤

新しい環境は苦手だから、なじめるかどうかが心配ですね。サークルも入りたいですが、どんなサークルがあるかまだ分からないので。

山本

これから大学受験する人に向けて、西澤さんから伝えられることはありますか?

西澤

塾に行ったことによる安心感がありました。場所を変えるというのが、私的にはすごく良かったです。あとは、行けば他に勉強している人がいて、仲間意識に励まされました。

山本

顔を知らない人でも、いると安心するものですか。

西澤

同じ高校の人が多かったんです。

山本

なるほど。志望のコースとしては孤独な闘いでしたけど、環境としては安心感のある場所で勉強できたのは良かったですね。ちなみに、教科学習とデッサン実技はどちらが苦労しましたか?

西澤

勉強のほうが不安でした。好きじゃなかったので。

山本

(笑)

西澤

教科の得意・不得意関係なく、全体的に早く終わりたいって思ってました。

山本

そりゃそうだ。大学受験を経験したことで見えたもの、得られたものはありますか?

西澤

受験を越えられたという自信ですね。自分でもがんばったなと思います。

山本

本当に稀に見る追い上げでした。西澤さんはデッサン実技のようにちょっと特殊な試験で、他の生徒さんたちとまた違った受験期間だったので、興味深く伴走していました。大学生活、楽しんでくださいね!

 

(取材・文/くりもときょうこ)