卒業生x校舎長対談 卒業生x校舎長対談

まつがく柳町教室(長野市)では、2021年も中学受験に挑む小学6年生の姿がありました。
長野市には選抜を経て入学する中学校が複数あります。
中学進学にあたって、中学受験をするかどうかという選択肢を考える小学生は一定数います。

信州大学教育学部附属長野中学校(以下、附属中)の合格を手にしたリンさんとカホさんは、
まつがくに入る前から仲の良い友だち同士。
要点をつかんで勉強するのが得意なリンさんと、高い集中力でコツコツ勉強するカホさんは、まったくタイプが違います。

そんなふたりの中学受験期を、校舎長の松本伸司先生と一緒に振り返ってもらいました。

リンさんのタイムライン

小学校

長野市立三輪小学校

将来の夢

声優
【夢へのルート】附属中→長野高校→日本大学芸術学部→声優養成学校→声優

まつがく入塾

きっかけは小5の11月に受けた全国統一小学生テスト(四谷大塚主催)。
小5の12月に、附属中受験を希望する友人たちと入塾

勉強のペース

最初は週2回、のちに週3回通う。1回80分

得意

作文、面接、理科

不得意

社会(歴史)

中学に入学したら

美術部に入りたい

カホさんのタイムライン

小学校

長野市立三輪小学校

将来の夢

看護師、作家
【夢へのルート】附属中→長野高校→県看護大→看護師

まつがく入塾

小5の12月。リンさんらとともに入塾

勉強のペース

週2回通う。当初は1回80分で、直前期は1回120分

得意

作文、面接、国語

不得意

社会(歴史)

中学に入学したら

合唱部に興味がある

小5で中学の進路を考える

松本

ふたりは一緒に小5の12月に柳町教室に入塾しました。他にも塾はたくさんありますが、なぜまつがくにしたんですか?

カホ

公文式の塾には今も通っているんですが、私は将来の夢を見据えて受験をしたいと思っていたので、まつがくの「夢に、地図を。」という言葉にグッときて、いいなと思いました。

リン

私はみんなでワイワイやるよりは、ひとりでやったほうが集中できるので、「超個別指導塾」というところにグッときました。

松本

ふたりして、グッときていたんだね(笑)。リンさんはまつがくに入る前に、四谷大塚がやっている「全国統一小学生テスト」を受けたんだよね。

リン

はい。自分でエントリーして小5の11月に受けました。その時の偏差値は50でした。

松本

四谷大塚の全国統一小学生テストは、中学受験を目指す小学生が受けるものだから、けっこう難しいんですよ。中学受験を考え始めたのはいつ頃からですか?

リン

小5になってからです。親から「そろそろ、どこに行くか考えたほうがいいんじゃない?」と言われた時に、フッと浮かんだのが附属中でした。受験するなら、6年生からだと遅いかなと感じていました。早くからやっている人に後れを取るので。

松本

長野市周辺は女子なら6校(男子は5校)、選抜検査(受験)を経て入学する中学校があるんです。受験するかどうかは小5でかならず学校からも聞かれます。周囲に中学受験を経験した人が大勢いるから、情報もたくさんあってイメージしやすかったかもしれないね。

カホ

私は看護師になりたいという夢があるんですが、もし看護師の道がダメになってしまった時に、なるべくたくさんの道が選べたらいいなと考えて、長野高校*1 に行きたいと思ったのがきっかけです。

*1 長野高校は、毎年65%程度の生徒が大学に現役合格していて、東京大学に約10名、早稲田大学・慶應義塾大学に約60名進学している長野県トップの進学校。今の附属中は長野高校への進学実績が約100名と突出しているので、「長野高校に行きたければまず附属中へ」が鉄板ルートになっている

松本

今の小学生は現実的だなと感心します。サッカー選手になりたいから長野高校に行きたいという生徒に理由をたずねたら、「サッカー選手は選手生命が短いから、引退後もしっかりやっていけるように大学に行きたい」と言っていました。

看護師は専門学校から4年制大学まで進路が幅広く選べるので、長野高校に進学すれば長野県看護大も合格の可能性が上がると思いますよ。カホさんは、作家にもなりたいと言っていましたね。俳句で入賞して新聞に載っていたこともあったよね。

カホ

はい。

松本

看護師と作家、両方なったらいいですよ。医療の小説が書けそうです。

合格レベルは出題レベルの上にある

カホ

まつがくでは、松下先生の教え方がすごくポジティブに学べる感じだったので、おかげで勉強するのが楽しいなと感じていました。

リン

松下先生は勢いで「ドーン!」みたいな感じで教えてくれるから、いつもすぐ笑っちゃう(笑)。

松本

松下先生は明るいキャラクターだからね。附属中の試験は、学科は算・国・理・社、そして面接、作文があります。まつがくで導入しているatama+は、小学生は算数しかないので、他の科目は問題集「小学教科書ワーク」を基本的にやっていきました。ほかにもいろんなテキストを使ったね。

カホ

公文式だと同じ単元の同じような学習をずっと繰り返しやります。でも、atama+は、簡単な問題から難しい問題までいろいろあるから、バリエーション豊かで飽きなくて楽しいです。

リン

ゲーム感覚でできるよね。

松本

リンさんは最初週2回、1回80分からはじめました。直前期は週3回に増やしました。カホさんは週2回で、最初は1回80分で直前期は120分。受験生は直前期に時間を増やして追い込みをかけますが、こんなに根を詰めて勉強したことはなかっただろうから、苦しかった時もあったんじゃないかな?

カホ

私の場合は、勉強がつらいな、嫌だなと思った時に、リンちゃんや他の子たちと話を共有できたのが嬉しかったです。

松本

ひとりじゃないと感じられるから、友だちの存在は大きいね。

リン

まつがくでは、5年生のうちに6年生の予習を全部終わらせるので、6年の時は受験勉強に集中できてよかったです。つらかったのは、勉強が進むにつれて理解するのが難しいところが出てきた時*2 でした。

*2 中学受験を目指す生徒は、非常に複雑な計算問題や文章問題といった、いわゆる中学受験用の特殊な問題に取り組む。附属中の場合は、出題範囲は小6の1学期までの単元で、出題レベルは基本的に教科書レベルであまり特殊な問題は出ない。学力的に差がつきにくいので、合格するには教科書レベルの問題を完璧に解ける学力(100点満点で90点以上)が必須とされる。そのため、附属中を目指す生徒は出題レベルよりも上のレベルの勉強をすることになる

松本

リンさん、カホさんはもちろん、他の受験生にもモチベーションに影響するのであえて言いませんでしたが、そういう難しい問題は入試には出ないんです。でも、やっておかないと確実に合格できる状態にはならないし、入学後に困ることになる。小6の2学期はまさにそういう勉強をしていたので、リンさんもカホさんも、そうとう苦労したと思います。

リン

受験が終わった今は中学の勉強をはじめているんですが、正負の数の乗法や除法がややこしくて……今も苦労しています。

カホ

難しいよね。

中学受験は保護者のサポートが不可欠

カホ

学校の同じクラスの中で、中学受験を目指している子はけっこういたよね。

リン

半分くらいかな。「たぶん落ちると思うけど、記念受験でがんばってみる」という子もいました。

松本

ふたりとも、体験の時に付き添ってくれたのはお父さんだったね。

カホ

私のお父さんは信州大学出身で、勉強に意欲的だったので。

リン

うちはお父さんが塾の先生だったので、やっぱり勉強には積極的でした。

松本

中学受験をするご家庭は、わりあいお父さん主導というケースが多い印象です。

カホ

うちはお父さんもお母さんも共稼ぎで忙しかったんですが、受験前はふたりが問題をつくってくれていました。まつがくで今までやったところをいくつかコピーして、問題のところだけ切り取って「やってみて」みたいな感じで。特に社会は、お父さんとお母さんがつくってくれた問題のおかげで、力がついたと感じています。

リン

うちはカホちゃんとは逆というか、私が帰って「今日、塾つかれたな」と言うと、お父さんもお母さんも「じゃあ休んだら? 無理して勉強しなくていいよ」と言ってくれる感じでした。

松本

中学受験は親御さんのサポートなしでは難しいです。そこで合否が決まると言っても過言ではないですよ。

苦手なのは社会の歴史

松本

受験は、最後はどれだけやったかという“量”がものをいいます。ふたりとも得意・不得意がはっきりしていたのと、附属中は過去問が一切手に入らないこともあって、最後は不得意な教科の問題集を集中的にやりました。

カホ

私は、自分では国語が得意だと感じていました。社会は特に歴史が、流れが混乱してしまって、苦手だなって。

リン

得意科目は国語と理科です。苦手なのはカホちゃんと同じで、社会の歴史です。人の名前を覚えるのが苦手で……。

松本

ふたりとも社会では苦労していたかな。11月には仕上がっていましたが。面接については、カホさんもリンさんも練習が必要ないくらい、最初から得意でした。作文もあまり苦労しなかったかな。勉強する中で感じた、自分の性格や特徴はあった?

カホ

お父さんがすごく負けず嫌いで、私もそれを受け継いだかなと感じることはありました。問題が解けないと悔しくて。

リン

そっけない問題というか、具体的な指示がない問題だと、「これ、やっていいのかな?」「これでいいのかな?」と考え込んでしまって、その問題に時間を使ってしまうことがありました。

同じクラスの子もいた集団面接

松本

試験日は12月4日*3でした。当日はどうでしたか?

*3附属中は40人×5クラス、定員200 人。中学の選抜学力検査は定員120人(80人は小学校からの内部進学、内部進学の小学生数により定員は変化)、倍率は例年 2 倍前後。2022年度の試験日は12月4日、結果は12月15日から郵送にて通知された。倍率は2.01倍だった

カホ

集団面接はいくつかの部屋に分かれていたんですが、同じクラスの子がたまたま同じ部屋にいたおかげで、そこまで緊張しなかったです。面接は、面接官が2人で受験生は3人でした。

リン

私のグループは、受験生は4人でした。

松本

コロナ前までは5人で1グループだったんですが、密にならないように1グループあたりの人数が減りましたね。

リン

私はあまり緊張していなかったんですけど、付き添ってくれた母が「ねえリンちゃん、まわりは頭いい子ばっかりだよ」と言っていて、緊張していました(笑)。

松本

リンさんは、緊張しないタイプだもんね(笑)。教科のほうの手ごたえは?

カホ

どの教科も、簡単だったと感じました。

リン

6年生の範囲が出なかったんだよね。

松本

附属中の説明会では、「6年生の範囲をメインで出題します」と言っていたんですが、実際は5年生までの範囲だったというオチでした。ふたりとも苦手だった歴史が出なかったのはラッキーだったね。合格の決め手はなんだったと思う?

カホ

私は今、学校で児童会長をやっています。そのことを面接で積極的に話したのがよかったのかなと思っています。

リン

お父さんは「合格したのは頭と運がよかったんだよ」って言っていました。

松本

ふたりとも運ではなく、努力の結果、合格したと思いますよ。初めての受験を経験して、印象に残っていることはありますか?

カホ

私がいちばん、受験ってすごいなと思ったのが、面接練習です。それまで、私は初めて会う人としゃべれなかったんです。それが、面接練習をするうちに初めての人ともたくさん話せるようになって、すごいなと思いました。高校受験に向けて、自分に自信がついたような気がします。

リン

私もカホちゃんと同じで、人見知り……いや、自称・人見知りかな? お母さんからは「すぐに誰とでも友だちになるじゃない」と言われるんですけど、たしかに同世代の子だと人見知りしないんですが、大人が苦手で。面接の練習をやることで、大人ともふつうに話せるようになりました。あと、受験当日に驚いたのが、受験生の数が多いことでした。予想していた2倍くらいでした。

松本

300人以上受験するからね。ふたりとも、プレッシャーは感じなかった?

リン

プレッシャーはなかったです。落ちたら落ちた時、と思っていました。

カホ

柳町中学校(市立)に行ったら行ったで、もっとたくさんの小学校の友だちもいるし、その中でがんばっていくのも楽しそうだなって。

松本

お父さん、お母さんは喜んだでしょう。

カホ

みんなから「おめでとう」と言ってもらいました。自分よりお母さんが喜んでいました。

松本

どこのご家庭もそうですね。本人より親御さんのほうが喜んでくれます。

リン

うちも、母がすごく喜んでいました。あと、まだ誰にも言っていないのに、学校に行ったら友だちに突然「おめでとう」と言われて、思わず「何が?」と返したら「受験合格おめでとう」と言われて。「誰に聞いたの!?」と驚きました。

松本

お母さんのLINE仲間かな(笑)。

リン

友だちに「受かると思っていたから」と言われて、嬉しかったです。

松本

リンさんは、中学に入ったら美術部に入りたいと言っていたね。カホさんは?

カホ

今、私とリンちゃんは三輪小の合唱団に入っているんですけど、附属中は合唱が強いと聞いたことがあるので、興味があります。

松本

クラスの合唱もレベルが高いけど、合唱部はNコン(日本最大規模の合唱コンクール「NHK全国学校音楽コンクール」のこと)で全国大会に行くようなレベルで有名ですね。

生徒ひとりひとりが教室の雰囲気をつくっている

松本

まつがくは超個別指導なので、それぞれの生徒さんの性格に合わせて対応するのは、中学受験も高校受験も大学受験も変わりません。ただ、小学生は成長度が早いので、こちらが思っているよりもみんな伸びていきます。「このへんまで伸びるかな」という予想をいい意味でみんな裏切ってくれて、本当にすごいですよ。

カホさんは、こつこつやるタイプで苦手なことも真面目に取り組むので、スピードはゆっくりですけど着実に実力をつけることができました。集中力もすごい。まつがくで勉強する時も、途中でブレたりダレたりしない。あの姿勢は、なかなか高校生でもできないことなので、すごかったです。

リンさんは、明確な指示がない問題だと立ち止まってしまうと言っていたように、たしかに入塾したばかりの時は指示待ちタイプでした。今は何も言わなくても自分からやるようになったので、積極性はずいぶん変わりましたね。全国統一小学生テストの偏差値も、1年で50から58まで上がりました。

個別指導でも同じ空間で勉強をしているので、ひとりひとりが教室の雰囲気をつくっています。積極的にやっている姿勢は、まわりに影響するんですよ。だから、そこを身に着けてくれたのは、教室としてもとても助かりました。

リン

まつがくで勉強していると、中学生や高校生が先生と話している声が後ろから聞こえてくることがあって。自分の全然知らない内容なので、「いつか自分もあんな勉強をするんだ」と思って、ワクワクしていました。

カホ

私も、中学生や高校生がもっともっと難しい問題を勉強しているのを見ると、「自分もいつかこうなれたらいいな」と思っていました。すごいな、かっこいいなって憧れています。

松本

たとえば大学受験で、難関校を目指している生徒が何人かいると、明らかに雰囲気が変わります。いるといい意味での緊張感というか引き締まった雰囲気になるし、いなくなると空気が緩むのが分かるんです。

ふたりは将来の夢がありますね。リンさんは声優、カホさんは看護師。どんな声優、どんな看護師になりたい?

カホ

私は小学1年生の時にIgA血管炎という病気にかかって、3学期はずっと大きな病院の小児科に入院していました。その時に、看護師さんに「遊んでほしい」と言ったら付き合ってくれて、とても嬉しかったんです。それで、ただ病気を直すだけじゃなくて、患者さんの心のケアができる看護師になりたいと思っています。

リン

私は、老若男女いろんな声ができる声優になりたいです。

松本

好きな声優さんがいるんだよね。

リン

はい。下野紘(ひろ)さんという、『鬼滅の刃』で我妻善逸の声をやっている声優さんです。幼い子どもから中年の人のような声も出せて、すごいなと思っています。

松本

夢をかなえられるように、中学に入ってからもがんばってください。合格、本当におめでとう。

 

(取材・文/くりもときょうこ)