卒業生x校舎長対談 卒業生x校舎長対談

中学に入って勉強の仕方が変わったことに危機感を持った大友雅翔さんは、中1夏にまつがくに入塾。勉強のペースをつくっていきました。高校合格後には、自衛官が将来の夢であることを打ち明けます。一般的な大学入試と異なる防衛大の受験に向けて、まつがくの先生と二人三脚で対策をはじめました。

学科試験の傾向が変わる想定外はありながらも、中1から積み上げてきた学習と、何より大友さんの強い情熱が最後、合格へ押し上げます。大友さんの中学時代を見ていた田辺恭央先生と、6年間伴走した山本雄一先生と、まつがく初の防衛大合格までの道のりをかえりみました。

大友雅翔さんのデータ

●出身校/長野県上田染谷丘高等学校 ●将来の夢/陸上自衛官

中1・8月

まつがく上田天神校(上田駅前校の前身)の夏期講習会中に入塾して、英語・国語・理科・社会の学習をはじめる。1回80分×週2回の通塾。入塾後初の定期テストから国語・理科・社会は学年平均より10~20点高い点数で安定する

10月

atama+導入。数学の成績が下がり気味になりatama+数学を追加。まつがくでの学習時間を1回120分×週3回に増やす

2月

中1最後の定期テストで自己ベストの得点

中2・9月

・トランペット奏者か楽器修理のリペアマンに憧れる
・英語の点数が下がりはじめatama+で英語を強化し学年平均+30点をキープ

10月

台風19号により長野県内も甚大な被害を受ける

中3・8月

総合テストの形式に苦戦。受験対策トレーニングで少しずつ点数が回復。志望校よりひとつ上のレベルを意識して受験勉強を本格化させる

12月

高校入試の過去問を徹底的に取り組む

3月

上田染谷丘高等学校に合格し、直後からatama+で高校英語・数学の予習開始

高1・4月

高校でもまつがくを継続する。夢は陸上自衛官であることを打ち明ける

1月

体調を崩して冬期講習を欠席がちに

高2・夏

バドミントン班の班長になり忙しい学校生活を送る

2月

英検2級に合格するも、atama+英語の進捗は思わしくない

高3・4月

大学受験用のatama+AI特訓を軸に大友さん専用の受験カリキュラムを作成

5月

バドミントン班を引退し、本格的に受験勉強をはじめる

7月

10月まで過去問演習を何度も繰り返す

8月

防衛大学校の推薦入試に向けて面接やグループディスカッションの練習に没頭

9月

21~22日に防衛大学校の推薦入試

10月

・推薦入試が不合格だった場合に備えて自衛官の試験を受ける
・防衛大学校理工学専攻に合格

現在

数学・物理・化学の勉強をatama+で続ける

1. 別の夢が芽生える

中学で勉強の仕方が変わった

田辺

雅翔くんは中1の夏期講習を体験して当時の上田天神校に入りました。私は、今は上田インター校にいますが、当時は上田天神校にいたので雅翔くんが入った時のことは覚えていますよ。

大友

中学に入って、小学校とは勉強の仕方が変わったことは感じていて、塾に行ったほうがいいなと思いました。それで、親に相談したり、友だちと「塾はどこに行くのがいいのかな」と話したりしていました。その友だちがまつがくの夏期講習を体験してみようと言い出したので、自分も一緒に行ったのがきっかけです。

田辺

最初は、当時いちばん課題だと感じていた国語を軸に、暗記トレーニングで理科や社会をやっていました。入塾して2か月後にはatama+が導入されて、点数が下がり気味だった数学も追加しました。英語も、低調になってきた中2の9月からはじめましたね。そして中3で高校受験を迎えます。

大友

高校は上田高校や上田染谷丘などいくつか近隣の高校を考えていました。勉強は伸び悩んでいましたね。成績は、キープはできていたんですけど、劇的に上がるまではいかなくて。

田辺

国語がなかなか厳しかったね。最初は国語がぐんぐん上がって、なぜか3年生になってから今度は英・数が安定して、国語が下がりはじめてしまいました。シーソーゲームみたいになってしまって。

大友

悩ましかったですね。

田辺

それでも、英・数は7~8割で安定して取れていたのは大きかったです。

自衛官になりたい

田辺

染谷丘高に合格して、高校でもまつがくを継続してくれることになりました。ここで、山本先生に夢は自衛官だということを伝えたんですよね。

大友

自衛官に興味を持ちはじめたのは中2で、台風19号の被害で災害派遣の陸上自衛隊の活動を見たのがきっかけです。

山本

その前は、違う夢があったんだよね。

大友

自分は小3から金管バンドや吹奏楽部でトランペットを続けていたので、奏者や楽器を修理するリペアマンになりたいと思っていました。

山本

自衛官になりたいということで、防衛大学校が浮上してきました。

田辺

私は雅翔くんが高1になる頃に上田インター校に移ってしまったので、後から防衛大を受けると聞いて驚きました。自衛官になりたい気持ちもあるということは聞いていたので、その思いを最後まで貫いたんだなと感激しました。すごいですよ。もちろん苦労も大きかったでしょうね。

大友

防衛大の学生は特別職の国家公務員です。試験も一般的な大学入試とは違います。

山本

まずは推薦型での合格をめざしました。

大友

はい。推薦だと面接があるので、自衛官になりたい思いを直接伝えることができます。思いの強さは自分の武器になると思っていました。

山本

高校でバドミントン班に入ったのは、自衛官になることを意識していたのかな。

大友

中学までと違うことをやりたかったのもありますが、やはり体を鍛えたいという思いもありました。

山本

なるほど。僕自身、防衛大受験を目指す生徒さんは雅翔くんがはじめてで、手探りでした。
雅翔くんは理工学系を志望しましたね。

大友

中学の時から自分は数学や理科系が好きで得意だったので、最初から理工学系で考えていました。

山本

当時の雅翔くんは、成績がそんなに伸びていたわけではなかったので、正直、大丈夫かなと思っていたところはあります。現在の防衛大の一般入試はけっこう難しくて、文系で旧帝大、東大、京大レベルです。理工学系も難関国立大学レベル。推薦も易しくはない。難関です。

2. 手探りの防衛大入試

1時間だけでも塾に行こう

山本

高1の冬期講習会の時、僕の中では結構焦りがあったんです。英語も数学も物理も、進捗があまり良くなかったので、冬休みにがんばってほしいと思っていました。それが体調を崩して塾に来られなくなってしまって、体調はもちろんですが、学習の進捗も心配でした。高2になると、バドミントン班の班長もやって両立が大変だったよね。

大友

平日は、部活が終わるのが夜7時半頃だったんですが、たとえ1時間だけでもなるべくまつがくに行くようにしていました。時間のやりくりで苦労はしていましたが、なんとか両立はできていたかなと自分では思っています。

山本

僕ら目線では、生徒さんの姿は塾に来ている時しか知らないので、来ない日が続くと心配になります。雅翔くんは来るとすごく集中してがんばっていて、黙々とatama+を進める姿を、すごいなと思って見ていました。がんばったといえば、高2冬の英検2級合格もありました。

大友

英検は推薦入試に出す書類にも書く欄がありましたし、英語力も高められるし、自分の強みにできそうだから取ることにしました。でも、atama+英語の進捗はあまりよくなかったんですよね。

山本

そうですね。英検2級は難しくて、atama+でいうと++レベルが終わっているくらい。英検のための面接練習もしていましたが、答えられない場面もあって苦労していました。それで、スピーキングがある二次試験は心配だったんだよね。でも合格したと聞いて、すごく嬉しかったのを覚えています。

かなり早い受験期のスタート

山本

高2の秋に、防衛大の推薦を狙おうという話になりました。

大友

学校の先生とも話をしたんですが、評定的には「絶対行けるよ」という感じではなかったんですよね。

山本

でも、準備はしておかないと間に合わないからね。いちばん問題だったのは、一般的な大学受験と比べて日程がかなり早いこと。推薦試験が9月、一般試験は10月です。それで4月に大学受験対策パックをつかった特別なカリキュラムを組みました。通常は5回やるatama+AI特訓を2回だけにして、その代わり防衛大の推薦の過去問を何回も解いていくスケジュールでした。

大友

過去問演習は、たしか5、6年分を2~3周したと思います。間違ったところを復習してもう1周、というのを繰り返していました。

山本

過去問を見ていると、急に傾向が変わって難しくなった年があったんだよね。しかも、その年以降難化している。倍率はあまり変わっていないんだけどね。

大友

受験向けのカリキュラムに入る前に、高校範囲を終えることになっていたのですが、かなりギリギリでした。

山本

推薦入試でも数Ⅲの微分積分は範囲に入っています。物理も、かなり大変でしたが高3はじめまでに全部やる予定でした。ただ、雅翔くん自身が過去問を研究する中で、出題傾向がかなりわかってきました。もちろん、傾向が変わる可能性はありますから、本当は全範囲をやったほうがいいんですが、なにしろ間に合わない。傾向に合わせ9月に向けてやるべきところを集中してやっていきました。

広報官の事務所に足しげく通う

大友

推薦入試は、英語・数学・物理の学科試験のほかに、面接とグループディスカッションがありました。

山本

もちろん一般入試も視野に入れてましたが、推薦で何とか入ってもらいたいという思いはこちらも強かったです。でも、周りがまだまだ本格的な受験モードじゃない時に、雅翔くんはがっつり受験モードだったから、大変だったよね。

大友

そこはだいぶ苦労した記憶があります。周りから自分をなるべく遮断していました。周りが遊んでいる時も、自分はがんばろうという感じで。

山本

雅翔くんにとって、とりわけ大きいサポートはありましたか?

大友

まつがくの先生方や親のサポートもありましたが、自衛官の方々が実際に活躍している姿を見たり、防衛大のパンフレットを読んでそこで勉強している自分の姿を思い浮かべたりしていたのが、モチベーションになっていました。防衛大のオープンキャンパスには、高2と高3で行きました。

山本

自衛隊の広報官から、自衛隊に関することを教えてもらったり、面接練習をしてもらったりしたんだよね。

大友

自衛隊は全国に広報事務所があるんです。自衛隊地方協力本部といって、略して“地本(ちほん)”と呼ばれています。上田だと税務署の近くですね。何度も通いました。

山本

広報官からは「ずいぶん熱心な高校生だな」と見られていただろうね。

大友

自分で言うのもなんですが、「大友くんは熱心だね」と言われたことはあります。そう言われたことで、ますますがんばろうと励みになりました。

3. 受験を通して成長し続ける

出題傾向が変わった……!

山本

グループディスカッションの練習は、僕とスタッフがもうひとりと、雅翔くん、上田高と染谷丘高で試験にディスカッションがある生徒たちの5人で、時間を決めて集まってやっていました。

大友

学校ではグループディスカッションの練習がなくて、まつがくでの練習が頼りでした。

山本

雅翔くんは、ふだんはおっとりした雰囲気なんですが、面接練習になると人が変わったように自分の思いをしっかり話すんですよね。練習する中で成長したんじゃないかな。合格してからもまだ成長し続けている感じがあって、自信がついたように見えます。

大友

以前は人前で話すことが得意ではなかったんですが、面接練習をやっていく中で、人前で話すことに自信を持てるようになった実感があります。

山本

実は今年は総合型選抜の生徒さんがとても多く、1日5、6件面接練習が続いたこともあり、死にそうでした(笑)。そんな中、9月に雅翔くんの推薦入試がありました。

大友

神奈川県横須賀市にある防衛大で、9月21~22日の土日で行われました。その時は周りの受験生が全員、頭良さそうに見えました。

山本

受験生あるあるだね(笑)。

大友

でもひとつ、ほっとしたことがあったんです。グループディスカッションの試験を一緒に受ける受験生と、待合室で会話する時間が持てました。とても明るい人たちで、コミュニケーションが取れたことで安心して、緊張がほぐれました。

山本

それはよかったね。グループディスカッションと学科試験の手ごたえはどうだった?

大友

学科試験は傾向が変わっていて、正直あんまり手ごたえがなかったです。グループディスカッションは難しいお題でしたが、事前に他の受験生と話せたことで発言しやすかったです。個人面接は、練習の時よりもシンプルな質問が出ました。

山本

学科試験は焦ったでしょう。

大友

めちゃくちゃ焦りました。でも、わかるところから順々にしっかり解いていこうと気持ちを切り替えて、何とか乗り切りました。

山本

中1からまつがくに通って、地道に学習を積み上げてきていたのが効いたかな。

大友

atama+などで基礎をやってきていたので、臨機応変に対応できたと思います。

山本

終わった後、雅翔くんの「やり切った!」という表情が印象的でした。本当にがんばったね。

諦めないでやり続けること

山本

推薦の合格発表は10月25日だったから、試験から1か月以上かかりました。

大友

この時期は不安が大きかったです。発表は朝の8時頃で、学校でスマホから合否を見ました。周りはこれから受験なので思い切り喜ぶわけにもいかなくて、離れたところでこっそり親に電話して喜んでいました。

山本

発表はサイトで公開されたので私も朝から注視していました。私は思いっきり喜びましたよ(笑)。合格したことで、変化はありますか?

大友

防衛大は入学後に実力テストがあって、その成績でクラスが決まります。それで今、atama+で数学・物理・化学の勉強を続けています。運動も再開しました。ランニングや筋トレを思いきりやっています。世界情勢なども、もともと社会科が好きで関心はあったので、受験勉強から解放された今は、趣味のように学んでいます。

山本

防衛大に入ってから思い描いていることはありますか?

大友

防衛大は体力だけでなく勉強も重視しています。将来大勢の隊員をまとめられるように、礼儀作法も含めて勉学もしっかり励んでいきたいと思っています。

山本

雅翔くんは、まつがく初の防衛大合格という快挙を達成しました。これから後に続く人が現れるかもしれません。そういう人に向けて、雅翔くんが受験を通して伝えられることがあればお願いします。

大友

勉強する中で不安になることは自分もありました。それでも諦めないでやり続けることが大切だと実感しています。自衛官は注目を集めやすいせいか、世間から厳しく見られがちです。それでも自衛官になりたいという思いを持っているとしたら、それはとても大切なことなので、防衛大学校に行きたい、自衛官になりたい人にはぜひがんばってもらいたいですね。

山本

熱心な雅翔くんが防衛大に関するいろんな資料を教えてくれて、そこから学ぶことがとても多かったです。すごくいい経験をさせてもらって、ありがたかったですよ。

田辺

自分も実は、学生の時に自衛官になる試験を受けているんです。

山本・大友

そうなんですか!?

田辺

昔取った歯科技工士という資格が使える、海上自衛隊技術海曹の採用です。当時は、守られる側より守る側でいたいという熱い思いがありました。雅翔くんは、その時の私と同じような志(こころざし)を持っているので、このまま日本の平和に貢献してくれたら嬉しいですね。

山本

雅翔くんは、中学から6年間ずっと、一生懸命な生徒さんだなと思って見ていました。これからは、いちばんはやっぱり体に気をつけて。自衛官は大変だからね。あとは、国を支えて、災害時に活躍できる自衛官になってほしいですね。節目の時はぜひ、校舎まで来て近況報告を聞かせてください。合格、本当におめでとう!

 

(取材・文/くりもときょうこ)