こんにちは。
超個別指導塾まつがく 上里教室の松尾です。
埼玉県の中学3年生の皆さん、お疲れ様でした!
本日の面接・実技試験で、ほとんどの受験が終わったものと思います。
体調不良等で追検査を受ける皆さん、もうひとがんばりです!
受験が終わった皆さんも、気を緩めすぎず、高校へ向けた勉強を進めてください。
【高校最初のテスト順位が高校3年生まで変わらない生徒が全体の70%】というデータがあります。
このデータのポイントは、「高校入試の順位」ではなく、【高校最初のテストの順位】というところです。
入試では高得点ででも、その後の3月にさぼってしまうと入学後の順位が入れ替わってしまうのが高校の怖いところです。
中学と比べ、高校では上位と下位の差が非常に小さくなります。
この3月、これまでの学習量を維持するところまではいかずとも、せっかく身に付けた勉強習慣を失うことなく高校生になってください。
さて、今回より令和3年度公立高校入試問題の考察を行います。
中学2年生の皆さんは、いよいよ受験生です。
高校受験という戦いを戦い抜くためにはまず「敵」を知ることが必要です。
「敵」とは【入試問題】ですね。
敵を知る参考になれば嬉しく思います。
そして保護者の皆さん。
受験生本人以上にご家族が大変な思いをされるケースを毎年見ています。
これをご覧になっていただき、「ああ、受験が始まるんだな」と感じていただけると幸いです。
かくいう私も、塾講師歴20年近くになりますが、今年初めて受験生の親になります。
今年は皆さんと一緒に、悩み、苦しんでいこうと思いますので、よろしくお願いします。
全問考察(国語)
それでは第1回目の今回は入試当日、最初に行われた科目でもある「国語」から見ていきましょう。
大問は例年と同様5つ。
設問も例年から大きくは変わりませんでした。
1.文学的文章
2.漢字・動詞の活用・文の成分・文章の構成や内容の推敲
3.説明的文章
4.古典
5.作文
<大問別出題傾向>
1.文学的文章 配点:26点
一色さゆり著『ピカソになれない私たち』からの出題となりました。
美大生を題材とした文章で、聞きなれない言葉も含まれていました。
ただし文章自体は読みやすく、また注釈もついていたため、戸惑うことなく取り組めたのではないでしょうか。
問1は「登場人物の心情を選択する」問題でした。
前後の会話文から心情を読み取ることが必要です。
比較的わかりやすい問題でスタートができたのではないでしょうか。
問2は「登場人物の行動の理由を選択する」問題ですね。
これも直後の文をしっかりと読み取ることができればそれほど難問、というわけではなかったと思われます。
問3は「登場人物の様子の説明文の穴埋め」問題でした。
傍線部の直前の会話文にしっかりと答えが書かれています。
これも解きやすい問題でしたね。
3問続けて平易な問題でしたので、リズムが出てきたことと思います。
問4でついに「登場人物の心情を指定の言葉を使って40字以上、50字以内で書く」問題が出されました。
望音の心情を会話文以外から読み取ることが必要でした。
答えが傍線部の近くにないため、これまでの3題に比べて難しく感じたかもしれません。
問5は「本文の表現について適切でないものを選ぶ」問題でした。
”ア”は会話文が他の登場人物のものである点、”エ”は擬人法ではなく隠喩である点が適切ではありませんでした。
本文がしっかりと読めていればこの問題も苦戦しなかったのではないでしょうか。
全体的に取り組みやすい文章・設問でしたので、平均点は昨年並みか、少し上がることが予想されます。
2.小問集合 配点:24点
大問2の配点も昨年と同じでした。
問1は漢字の読み書きでしたね。
『脱穀=ダッコク』『迅速=ジンソク』『催す=モヨオす』の読み3問はそれほど難しくなかったため、高い正答率が予想されます。
『催す』で苦戦した受験生がいたのではないでしょうか。
また、書きは『ジュウダン=縦断』『ヤサしい=易しい』の2問でした。
『易しい』は『優しい』などの書き間違いがあったかもしれませんが、文全体を読むことでミスは減らせたはずです。
問2は動詞の活用の種類が同じものを選択する問題でした。
『指している』は『指す』の連用形です。
『ない』をつけることで活用の種類がわかりますね。
『指さない』となり『ない』の前は『ア』ですから、『五段活用」ということが分かります。
ア:する=サ行変格活用
イ:まねる=下一段活用
ウ:笑う=五段活用
エ:信じる=上一段活用
ということで【ウ】が正解です。
問3は『読書だ。』の『だ』と同じ意味(用法)であるものを選択する問題。
この『だ』は『断定の助動詞』ですね。
『ア:挟んだ』は「動詞:挟む」の穏便の形に「過去の助動詞:た」がついたもの
『イ:しおりだ』は「体言:しおり」に「断定の助動詞:だ」がついたもの
『ウ:静かだ』は形容動詞の一部ですね。
『エ:やわらいだ』は「動詞:やわらぐ」に「過去の助動詞:た」がついたものです。
よって【イ】が正解ですね。
問4はグループ学習で作られた【発表メモ】【フリップ】、その発表のための「話し合いの様子」から答える問題でした。
(1)は【フリップ】をどの場面で提示するか、の選択問題です。
「話し合いの様子」からタイミングを読み取ることが求められました。
いくつかの意見が出されていますが、最終的なまとめで『なか①』で提示する、という意見でまとまっています。
よって正解は【イ】となります。
(2)はスピーチやプレゼンテーションの注意事項として適切でないものを選ぶ問題です。
「エ:発表の台本に記した言葉は、全てフリップにも記して・・・」という内容は、スピーチやプレゼンテーションでは不適切ですね。
ポイントを絞って、一番伝えたい内容だけをフリップに記さないとぼやけてしまいます。
よって正解は【エ】。
(3)は推敲の問題でした。
主語が『目標とするのは』=『目標とすることは』となっているので、述語部分も『〜すること』の形にする必要があります。
よって正解は【すること】などとなります。
文の成分に関する問題が、動詞の活用の種類に関しての問題であったため、解けた受験生は多かったように思います。
助動詞の判別もワークや問題集ではよく出る形の問題でしたね。
大問2の平均点は昨年並みか、少し上がるのではないでしょうか。
3.説明的文章 配点:26点
大問3の配点も昨年と全く同じでした。
河野哲也著『人は語り続けるとき、考えていない 対話と思考の哲学』からの出題でした。
題材が哲学とはなっていますが、難解な論説文ではなく随筆文のような文章となっていたため、比較的読み取りやすく感じた受験生が多かったようです。
問1は「カヌーでの思考の働き方」についての説明を選ぶ問題です。
傍線部周辺を読むことで選択肢が絞り込まれるので、比較的容易な問題であったと思われます。
問2は「筆者の考える乗馬やセイリングにおける自然との関わり」について説明した文として適切なものを選ぶ問題です。
こちらも直前の2段落で「乗馬」「セイリング」それぞれの自然との関わりが書かれています。
選択肢は段落の要約文になっているので、こちらも解きやすかったのではないでしょうか。
問3は筆者の考えを20字以上、30字以内で書く問題でした。
傍線部の文が含まれる段落をどうやってまとめるか、が問われた問題ですね。
文中の言葉の前後を入れ替えることも必要なため、完答は難しかったかもしれません。
それでも同じ段落内の言葉を使えば良いので、答えることができた受験生は少なくないでしょう。
問4では傍線部と同じ内容を表している部分の書き抜き問題でした。
「同じ段落内から」という指示があったため、探すこと自体は容易かと思いますが、内容は少し難しかったかもしれません。
問5は筆者の考えを指定された語句を用いて、40字以上、50字以内で書く問題でした。
最後の2段落をうまくまとめることが問われた問題です。
語句の指定があったので、書き出すべき部分は見つけやすかったように思います。
完答まではできなかったものの、部分点は取れた受験生は多かったのではないでしょうか。
4.古典 配点:12点
『徒然草』からの出典となりました。
文も短く、内容も分かりやすいものだったと感じます。
問1は例年通り「現代仮名遣い」への書き換え問題です。
『づ→ず』『ひ→い』という代表的な書き換えであったため、正答率は高くなりそうですね。
問2は登場人物の行動を書き出す問題です。
登場人物は多くなく、動作自体も多くありませんでしたので、口語訳をしっかりと読み取れれば答えることは容易だったはずです。
問3は主語の選択問題ですね。
文の流れから、考えづらい箇所もない問題です。
直前に出て来ている『ウ:吉田中納言』を答えればよく、こちらも正答率は高くなることが予想されます。
問4は本文全体の内容について述べた文を選択する問題でした。
最後の2文を口語訳をうまく使って読み取れれば答えられる問題でした。
本文・問題とも難問、というものではありませんでしたが、古典は例年正答率が低くなっています。
しっかりと対策をすることで、差をつけることができるポイントです。
5.作文 配点:12点
例年通り作文でしたね。
「ボランティア活動に期待すること」について自分の考えをまとめる作文でした。
受験に向けてボランティア活動に取り組んできた受験生も多かったものと思いますので、他のテーマよりやりやすかったのではないでしょうか。
以上、長文となりましたが、令和3年度埼玉県公立高校入試【国語】の全問考察でした。
これといった難問もなく、例年並みか少し易化した印象です。
平均点は少し上がるのではないか、と予想しています。
次回は数学を考察します。お楽しみに。
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