【2021速報】長野県公立高校入試出題分析

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こんにちは!

超個別指導塾まつがくの阿由葉です。

 

【この記事はこんな方におすすめです】

・長野県公立高校後期選抜の出題傾向を知りたい

・大問ごとの配点を知りたい

 

今回は2021年3月9日に実施された長野県公立高校後期選抜試験についての分析です。

注)文中の「受トレ」とは、まつがく生を対象とした高校受験対策(受験対策トレーニング)の略称です

 

一時限目:国語

総評【例年からの変化が如実に見られた】

・記述数が大幅に増え、スピードと記述力両方求められたタフな出題になった

・記述問題は計4題で最大320文字になるが、配点は24点とそこまでウェイトは大きくない。記述以外の問題をいかに正確に速く解くかが点数を左右すると考えられる

 

①論説文(34点)

・テーマは「文章を書くこと」、キーワードは「対比」

・文章がやや抽象的でレトリック(比喩)もあるので、読解は少々難しい印象。論理的な読み方を普段から意識している生徒には取り組みやすかったか

・問題形式は愛媛県のように指定した字数を抜き出すものが多かったが、70~80文字と70~90文字の記述問題があったため記述以外の問題は早く処理するスピードも求められた

・作文問題は受トレとほぼ同じ、AかBを選んで自分の考えを書く形式。字数が少ない分、本番のほうが楽だったはず

・文法は「ない」の識別で比較的オーソドックス

 

②意見文(16点)

・以前からの指摘の通り、ここにも作文問題が登場した。しかし論説文の作文問題とは異なり、メモ(ヒント)を元にするので答えの道筋はほぼ決まっているものになっている

・資料の読み取りも必要になっている

 

③古典(16点)

・古文と漢文セットの出題。H29、H30と出題が続いており、H30は今回と同じ徒然草からの出題となっている

・文章から故事成語やことわざを読み取る問題はH31にも出題があった。表現技法や返り点の出題があり知識も求められている

 

④漢字(6点)

・文章の中で誤って使われている漢字を抜き出し、正しい漢字を書く形式。北海道などの出題形式と同じ

・ただ漢字練習をしているだけでは中々身につかない、語彙としての漢字の使い方を試される。配点は低いものの難化している

 

⑤小説(28点)

・1984年生まれの若い作家、朝倉宏景の作品『雨を待つ』

・最後の記述問題は、作文問題ではなくH31と同様に付せん(メモ)を参考に記述する形式

 

 

二時限目:数学

総評【大きくは変わらず】

・大問の組み立て、出題内容も良くも悪くも例年通り(休校に対する特別措置として、三平方の定理など一部の単元は除外された)

 

○大問1(36点)

・記述問題がこの時点で出されるのは例年同様

・計算問題の答えを記号で選ばせるのは今回が初。単純な計算問題ができるだけでは点数が取れにくくなってきた

 

○大問2(中問集合19点)

・資料の整理、立体の体積計算、平面図形と式の説明の3題。全体として点数は取りにくい印象

・資料の整理:度数分布多角形を使う出題がこれまでほぼ無かったので戸惑った生徒も多かったと思われる

・立体の体積計算:H29の大問1に類題が出題されていたので過去問演習をしていた生徒には有利

・平面図形と式の説明:どの生徒も苦労する単元なので、きちんと正解ができた生徒は多くないはず

 

○大問3(1次関数23点)

・今年は速さ問題だった。H26、H29の類題

・最近の傾向である記述問題が2題出されている

・例年と比較すると易化した印象

 

○大問4(平面図形22点)

・傾向通り非内接円である平行四辺形が出題のベース

・平行四辺形になる条件が久々に出題された

・後半の問題は色々な解き方が想定できるが、相似より比そのものの扱いが鍵となりそう(三連比を知っていると解きやすい)

 

 

三時限目:社会

総評【記述対策はどの単元でもしっかりと】

・公民分野の記述量が減り、地理で記述問題が多く出題された

 

①地理(36点)

・今回のテーマは「主食」

・日本地理では九州地方、世界地理ではアジア州がメインで扱われた

・単語を書かせるものを含め、記述問題の割合が多く苦労したのではないか

 

②歴史(37点)

・「お茶」をテーマに問題が構成された

・地理と違い記号問題がかなり多く(地理が5問、歴史は13問)、歴史が苦手な生徒は助かったかも知れない。ただ複数選択肢を選ぶものも多く簡単ではない

・一問一答的に筆記で書かせる問題が1問のみ。二年前は0問、前年は4問(公民分野からの融合問題を抜けば2問)とあまり安定しない

・地理歴史いずれも資料の読み取りは2問以上出されている

 

③公民(27点)

・公民も前年度同様1つのテーマ(会話)を元に出題が構成された。今回は「18歳成人」について

・去年度は地歴公民いずれも融合問題(別単元からの出題)があったが、今回は公民単元のみ歴史用語を書かせる問題が出題されている

・最近頻出であった長い記述問題は単独での出題ではなく、公民分野の中から出題された。さらに文字数も40~60文字と比較的抑えめになっており、これは地理とのバランスを取るためとも考えられる

 

 

四時限目:理科

総評【大きな変化は見られない】

・出題範囲から外れた単元があったが、例年通りの問題構成や内容のように感じる

 

①生物分野(25点)

・いずれも最近出題がなかった消化実験の問題と遺伝の計算問題

・計算問題以外は取り組みやすかったのではないか

・最近の受トレでも扱った「対立形質」を書かせる問題が出ている

 

②化学分野(25点)

・酸化銅の化合、電気分解と、中1範囲の物質の問題

・前半の酸化銅関連の問題は比較的易しいが、後半の物質の問題は読み取るデータも多い上、比を使った計算問題や密度を求める問題があり難しい印象

 

③地学分野(25点)

・天体が出題範囲から外れているため、中1分野の火山・地層、中2分野の天気とある意味順当な出題となった

・地層のなりたちについては過去あまり出題されていないので問題集などで対策が必要だった

・天気の分野は最近頻出なので問題数、配点ともに控えめ(10点分)

 

④物理分野(25点)

・主にオームの法則までの電流と中1の音から出題

・LEDがテーマになっている。LEDと豆電球の差のような問題は他県ですでに多く出題されているので、問題集などをやっていれば対応はそこまで難しくはない

・海底の地形の様子を音が伝わる速さを利用して解く問題構成だが「距離=速さ×時間」という基本的なところが分かっていれば初見でも解くのは容易かったと思われる

 

 

五時限目:英語

総評【分量がさらに増え読解重視に】

・去年度同様記号問題と記述問題の配点比が74:26、記述問題の量は減ったままなので読解を重視していることが伺える

・後半分の文量、単語量がさらに増えている。豊富な語彙力と素早い読解力がますます求められるようになった

 

①リスニング(20点)

・以前から告知があったように読み上げが1回のみと2回の問題に分かれた

・配点は以前と変わらず20点分、かつすべて記号問題となっている

・内容的には大きな変化はなさそうだが、英語で書かれたメモ(イラスト)を選ばせる問題は大学共通テストを彷彿とさせる

 

②会話文、読解問題(30点)

・Ⅰは前年度と同じような形式だが、英作文問題が問3に移動し、H22~23のようにメモを元にした上で1文を入れる問題に変わった。いずれも文法や語彙力が試されている

・Ⅱは長野県ではあまり見られなかった読解問題。60語前後の英文を読むものと、英語のレシートを読み取る問題。こうした問題は他県では多く見られるので、過去問にない分初見は戸惑ったものの、問題の対応自体にはあまり困らなかったのではないか

 

③説明文、会話文(26点)

・大問4が説明文体の問題ではなくなった分こちらで出題された

・ツバメに関する文章、3人の会話文、スピーチ原稿と3つのまとまった文章はいずれも分量が多く、読解にかなり苦労したと推測できる

・英作文問題はこちらに移動した。長文の中で聞かれていることに対して答える分、これも難しかったのではないか

 

④スピーチ文(24点)

・長野県の大問4では例年「人(伝記)やモノ」などを説明する文章が出題され、主語が「Ⅰ」である1人称スピーチ文は長い間出題されてこなかった(※例外はH29の、スピーチでキュリー夫人を紹介するもの)

・今回は1人称のスピーチとなり他県で多く採用されている形式になった

・英語を書くというよりは正確に読み取る力を試すという意図を感じる

 

 

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